より良い医療制度をめざす活動

【19.06.25】任意予防接種助成

粘り強い訴えで対象拡大進む

保険医協会地域医療部は、2019年4月1日時点での「任意予防接種助成事業」等の実施状況を調査し、県下全市町村にあたる54市町村から回答を得た。その結果を報告する。

子どものインフルエンザ
子どものインフルエンザワクチンに対する任意接種助成については、11市町村(20.4%)が助成を実施。近年の特徴として、大府市や知多市などのように中学3年生及び高校3年生を対象とする自治体も増加している。
設楽町では流行への対策として昨年から全額助成に拡充した結果、患者数が前シーズンと比較し7分の1に減少した。また愛西市議会などで助成の必要性が議論され、江南市では3月議会で助成を求める請願が全員賛成で採択されるなど、助成は必要との認識が広がっている。

おたふくかぜ・ ロタウイルス
おたふくかぜを巡っては、ワクチン未接種によりムンプス難聴となった者に後遺症が残る事例が指摘されており、日本耳鼻咽喉科学会も定期接種化を求めている。
今回の調査で刈谷市(2019年4月)・田原市(同年5月)が新たに助成を開始し、全体で16市町村(29.6%)となった。特に刈谷市は助成回数を2回としており、これは豊根村に次いで2番目となる。2回の接種は小児科学会も推奨しており、既に1回の助成を実施している自治体にも2回の助成を求めていく。
ロタウイルスは、強い嘔吐と下痢、脱水症状により重症化のリスクがあるが、治療薬がないため予防が重要となる。しかしワクチンは2〜3回の接種が必要で経済的負担も大きく、助成を求める声は大きい。
助成を実施する自治体数は前回調査から小牧市が増え、20市町村(37.0%)となった。

特別な理由による任意予防接種費用補助
骨髄移植などにより、過去の予防接種で得た抗体を失った子どもに対してワクチンの再接種費用を助成する制度について、昨年(2018年4月)の調査で11市(20.4%)が助成していた。この間の要請でも、対象者や予算が他制度と比較し多くないため、制度創設を前向きに検討すると回答する自治体もあり、今回の調査で35市町村(64.8%)まで拡大。これ以外にも「今年度中の実施を検討中」と回答する自治体もあり、県内3分の2超の自治体で実施される予定。

高齢者用肺炎球菌ワクチン
高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種は原則65歳を対象としているが、2019年3月末までの経過措置として、70歳から5歳刻みを助成対象者としてきた。この経過措置を巡って厚労省は接種率の低さなどを理由に更に5年間延長するとした。しかし、定期接種の経過措置が延長される一方、自治体が独自で実施している任意接種の助成について、11市町が昨年度末で終了していることがわかった。これにより任意接種の助成を実施している自治体は29市町村(53.7%)となった。実施自治体には「住民の任意接種の経済的負担が大きい」ことを理由に自己負担額を5220円から3500円に引き下げた岩倉市のように経済的負担の軽減と接種率向上を図る自治体もある。

麻しん(はしか)
2018年から流行している麻しん患者数は全国で617人(6月12日現在)と報告されており、大流行した2014年を上回るペースで増加している。
協会地域医療部では昨年11月、麻しんの任意予防接種助成など「風しん・麻しんの流行への対策を求める要望書」を県下全市町村に送付。今年4月から豊田市、みよし市に次いで豊橋市が2歳〜50歳を対象に、麻しんの抗体検査と予防接種費用への助成を開始した。
また全国的にも、東京都知事や横浜市長などで構成される「九都県市首脳会議」が5月23日、20歳代から40歳代に対する麻しんの定期接種化などを厚労省に要望した。

子どもの任意予防接種助成を巡っては、「国が定期接種化するのを待つので、任意での助成は行わない」という自治体の姿勢を、「ワクチンで予防できる病気はワクチンで防ぐためにも早期に助成を」という住民や医療団体関係者の粘り強い要望により変えてきた。おたふくかぜ・ロタウイルスとも、助成を実施する自治体は五年前から倍増している。
インフルエンザワクチンも発症を完全に防ぐことはできないが、接種により子どもだけでなく周辺高齢者の重症化を防ぎ、また子どもの学級閉鎖や看病のために仕事を休む親の負担が軽減される。
高齢者肺炎球菌ワクチンを巡っては死因の上位を占める肺炎を防ぐためにも、また接種率向上のためにも、定期接種から漏れた住民を対象にした任意接種の助成を求める声は大きい。
今後も粘り強い訴えで各ワクチンの助成を全市町村で実現していく。と同時に、国に対しておたふくかぜやロタウイルスなどの定期接種化、流行の度にワクチンが枯渇することのないよう提供体制を改善することなどを求めていく。  

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