より良い医療制度をめざす活動

【18.06.05】産婦・子育て支援への助成拡がる

産婦・子育て支援への助成拡がる

保険医協会地域医療部は、2018年4月1日時点での「産婦健診」や「新生児聴覚検査」「軽度・中等度難聴児補聴器給付事業」の実施状況を調査し、愛知県内54市町村すべてから回答を得た。その結果を報告する。

国は、妊産婦や子育て世代への支援を求める声の高まりを受け、子育て世代包括支援センターの整備や不十分ながら各種健診事業など市町村への支援を進めている。
協会地域医療部は昨年11月、産婦健診や新生児聴覚検査などに対する助成制度の創設(拡大)を求める「子ども・子育て世帯への福祉施策拡充を求める要望書」を県内全市町村へ提出した。
要望書提出後の2018年度各市町村における助成制度の拡充状況について各市町村にアンケートを送付し全市町村から回答を得た。その特徴を解説する。

産婦健康診査
産婦健康診査事業は2017年4月、産後うつの防止などを目的に国が創設した。実施主体は市町村で、健診費用の2分の1を国が、残りを市町村が負担している(最大2回まで)。
昨年4月に保険医協会が実施した調査では、産婦健診への助成を実施しているのは46市町村(85.2%)であった。今回の調査で、昨年調査時から新たに豊橋市、蒲郡市、小牧市、稲沢市、弥富市の5市が実施。これにより実施市町村は51市町村(94.4%)となり、実施していない自治体は岡崎市・津島市・幸田町のみとなった(表1参照)。
助成回数を2回に設定しているのは、昨年から6市村(小牧市・東海市・知多市・高浜市・豊明市・豊根村)が拡大し、8市村(14.8%)となった。
対象者では、一宮市が対象を非課税または生活保護世帯のみに限定している。また対象期間は多くの市町村が産後8週または産後2カ月以内に設定。それ以外の対象期間を設定しているのは、豊橋市(産後3週以内)、一宮市(産後1カ月以内)、知立市(産後1カ月頃)などである。
健診対象者への助成額は、ほぼ全ての市町村が厚労省が示した一回当たり5千円と同額と回答している。医療機関への支払いは多くの市町村が受診券を発行し国保連合会を通じて支払うとしているが、直接医療機関へ支払うと回答する市町村も見受けられた。
産婦健診を2回助成している自治体では、産婦健診の受診率が約80%で、そのうちエジンバラ産後うつ病自己質問票(EPDS)により支援が必要と判定された受診者が約10%いるという結果も示されている。
昨年には、2005年からの10年間で東京23区の妊産婦の異常死89件のうち、63件が自殺だったと報道され、自治体でも出産から子育てまで包括的に支援する子育て世代包括支援センターや産後ケア事業の整備も進められている。
産後のうつを早急に発見し、きめ細やかなフォローを行うためにも、産後健診の2回助成実施を各市町村に引き続き要望していく。  

新生児聴覚検査
厚労省は、「聴覚障害が早期に発見され適切な支援が行われた場合は、その影響が最小限に抑えられることから、全ての新生児を対象に新生児聴覚検査を実施することが重要」としている。しかし、受診者数を把握している市町村における検査の受診率は82.8%、公費負担を実施している市町村は全国で12.9%に留まっている(2016年度)。
そのため厚労省は2017年12月に、経済的負担軽減のため積極的に公費負担するよう通知を改正。また新生児聴覚検査の推進体制を整備するため、2017年度から新生児聴覚検査体制整備事業を予算化した。
県内では2017年度から新生児聴覚検査に対する助成を開始する市町村が現れ、2018年4月現在、9市町村(16.7%)が実施している(表2参照)。対象者は概ね生後4週間(満28日)、助成対象検査は聴性誘発反応検査(ABR)や耳音響放射検査(OAE)などのスクリーニング検査となっている。一人当たりの助成額は3,000円から5,400円と自治体によって差があった。
まだ助成制度を創設していない市町村には、新生児の障害の影響を最小限に抑えるためにも早急に制度を創設するよう求めていく。また県に対しても、実施していない市町村が制度創設をできるよう研修会などの支援を行うこと、住民に対する検査の必要性を普及啓発することを要望していく。  

軽度・中等度難聴児補聴器給付事業
2016年10月、愛知県で「手話言語・障害者コミュニケーション条例」が制定された。これに基づき、2017年4月から「軽度・中等度難聴児の補聴器購入費用等の助成事業」を県制度として開始した。
県制度の対象者は、原則として両耳とも聴力レベルが30デシベル以上で、身体障害者手帳の交付対象となっていないことなどの要件を満たす18歳未満の児童(下表参照)。補助率は補助対象事業費の3分の1以内(市町村補助額の2分の1以内)となっている。  

市町村によっては県制度が創設される以前から同内容の事業を実施していたが、県制度創設を機に補聴器を必要とする児童の親から助成を求める声や多くの議会で取り上げられ、制度創設する市町村が増加した。
今年度新たに助成を開始した市町村は、豊川市や蒲郡市など15市町(表3参照)。既に実施している市町村を合わせ、今年度46市町村(85.2%)が実施することとなった。実施していない市町村は、碧南市・弥富市・蟹江町・阿久比町・南知多町・設楽町・東栄町・豊根村の8市町村。
助成制度を実施しているほぼ全ての市町村が補聴器の新規購入及び修理に係る費用を対象としており、助成額は費用の算定基準を定めた厚労省告示または実際の購入費のいずれか低い方の3分の2としている市町村が多く、具体的補助上限額を定めている市町村もあった。
今年度から助成を開始した小牧市では事業予算として約37万円、大府市では約22万円を計上している。難聴児の家庭には補聴器の購入・修理に係る費用は大きな負担となる。難聴児の生活、学業を援助するためにも、まだ実施していない市町村は早急に制度創設を行って欲しい。

制度拡充に向け引き続きご協力を
各事業とも保険医協会の要望に対し一定の前進が見られたが、今後も市町村への要望と同時に、議会へも働きかけていくことにより全市町村で助成事業が開始されるよう今後も運動を強めていく。
会員の皆様にも引き続きご協力をお願いすると同時に、要望や市町村の動きを保険医協会までお寄せいただきたい。  

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