より良い医療制度をめざす活動

【17.01.15】〈解説〉「あらゆる世代に負担増」中止を 医師・歯科医師要請署名のポイント

自然増半額に圧縮の来年度予算

12月22日に閣議決定された来年度政府予算案では、社会保障費は本来8千億円から1兆円は必要な自然増を、概算要求段階で6400億円に絞り、最終的に5千億円まで圧縮することが決定された。「骨太方針2015」で「社会保障給付の増加を抑制することは、経済成長に寄与する」と、社会保障をお荷物扱いしていたが、この路線を貫いた予算案となっている。

「受診頻度が高いことを配慮」を自ら反故に
――高額療養費

70歳以上の高額療養費は、2002年から設けられていた特例軽減が廃止(もしくは大幅緩和)される。「現役並み」の所得区分は、70歳未満の負担限度額と同じまで軽減を廃止し、「一般」区分は現在の1.5倍まで引き上げる内容(表1参照)。対象となるのは、70歳以上の63%にあたる1400万人にものぼる。
この特例軽減は、2001年の高齢者の定率一割負担導入時に「高齢者は外来の受診頻度が若年者に比べて高いこと」に配慮して設けられたもの。この「配慮」した環境は、いささかも変わらないのだが、今回政府の審議会等では「世代間・世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点から」廃止(もしくは大幅緩和)されるもの。

負担増2倍〜10倍
――後期高齢保険料

2008年の後期高齢者医療制度発足時に、負担軽減を配慮することで制度への批判をかわす狙いがあったが、今回、「所得割及び元被扶養者の軽減特例を段階的に本則に戻す」と打ち出された。(表2参照)  

65歳以上の療養病床で自己負担拡大
――入院時の光熱水費

65歳以上の患者が療養病床に入院した場合以下のようになる。(1)2017年10月から医療区分1は1日320円から370円に徴収拡大、(2)医療区分2、3は、これまで無料だったが居住費徴収を拡大(2017年10月から200円→2018年4月から370円)。(3)一般病床や精神病床等への拡大は見送り。

火種として残った受診時定額負担や市販品薬保険外し

今回の計画では結論が先送りされたものの、火種が残った課題としては、次のような項目がある。なお、12月21日の経済財政諮問会議では「改革工程表2016」が改定され、受診時定額負担や市販品類似薬の保険外しなどは「2018年度末までに検討し、必要な措置を講ずる」と時期が明記された。
(1)かかりつけ医普及を理由とした受診時定額負担の導入……医療保険部会では、「引き続き具体的な検討をすすめる」として、病院の外来受診時の定額負担に関し、現行の選定療養による定額負担の対象の見直し(対象拡大)を提案。一方、財務省・財政制度等審議会では、登録医制度導入とからめて患者負担を提案。
(2)市販品類似薬の保険外し……湿布薬、痛み止め、目薬、ビタミン剤、うがい薬、漢方薬などの市販品類似薬の保険給付外しの他、薬剤自己負担の引き上げについて、市販品と医療用医薬品との間の価格のバランス、医療品の適正使用の促進等の観点を含め検討。
(3)75歳以上の窓口負担原則2割化……2018年までに導入について結論。財務省や日本経団連などが積極的に導入を提言。
(4)参照価格制度の導入……関係審議会等で「2017年央を目処に結論を得る」としている。
(5)金融資産保有状況を考慮に入れた負担……医療保険でも介護保険の補足給付と同様に金融資産等の保有状況を考慮に入れて負担を求める仕組みをめぐっては、医療保険部会では「時期尚早」との意見が多数だが、今後、マイナンバーの導入等の金融資産の把握に向けた取り組みを踏まえつつ、検討を進めるとしている。

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