より良い医療制度をめざす活動

【16.11.15】特別養護老人ホーム実態アンケート結果

要介護2以下には厳しい現実

地域医療部では9月1日〜30日にかけ、県内の特別養護老人ホーム(以下、特養)350施設を対象に、入所者の状況や配置医師との関係をテーマにアンケートを実施した。回答は114施設(32.6%)から寄せられた。以下、結果を抜粋して報告する。

地域密着型特養が増加するも、職員数が不足していると感じている施設は2/3以上に
(1)開設年数10年未満が5割以上、小規模特養が1/3
回答があった特養の所在地は、名古屋市・尾張東部・西三河の各地区が約20%、尾張西部・東三河地区の各地区が約15%であった(表1)。開設年数は10年未満が5割を超え(表2)、定員30人未満の地域密着型特養が36%(表3)を占めた。これは、2006年の介護保険法改正に伴い、各地で地域密着型特養が増えた結果が現れている。
(2)職員数の不足を感じている施設は67%
職員数の充足感を聞いたところ、「充足している(31.2%)」、「不足しているが入所制限をするほどではない(64.3%)」、「不足しているため入所制限をしている(4.5%)」となり、不足していると感じている施設は2/3以上という結果になった(表4)。
地域密着型特養の増加により、施設規模は小さくなっているが、依然として介護職員の不足感は解消せず、各施設で従事者の確保に苦労しているとの声が挙がっている。  

制度改悪の影響が広範囲に
(3)要介護2以下の新規入所者は1%
施設の待機者数は重複も含め、総数で14,623人。その内、要介護2以下は3,397人(23.2%)であった。
既存入所者の介護度を調べると、総数7,393人の内、要介護2以下は902人(12.2%)と入所者の1割以上を占めていることがわかった(表5)。
しかし、昨年度の新規入所者の内訳を見ると状況が一変する。2015年4月から特養の入所基準が原則要介護3以上とされた。しかし、要介護2以下であっても、認知症で自立困難や独居高齢者など特例要件に当てはまる場合は入所できる。
昨年度1年間の新規入所者総数は2,223人(表6)。その内、要介護2以下の新規入所者は23人と、入所できたのはわずか総数の1%いう状況であった(表7)。また要介護2以下を理由に断った数は207人に及ぶ。住民にとって特養は介護状態が重度化しなければ入所できない施設となり、施設側にとっても従事者が不足している中、入所者の重度化により一層負担が増える状況となっている。
4)改悪続々、2割へ引き上げ350人
2015年8月から、一定所得以上の利用者負担割合が1割から2割に引き上げられた。2割に引き上げられた入所者数を聞いたところ、総数7,393人の内、350人(4.7%)であった。引き上げを理由とした退所者は1人であったが、これは高額介護サービス費により月額の支払い上限が押さえられているため、2割に引き上げられても、なんとか支払いに耐えられているためと思われる。
しかし、現在国は一般所得の要介護者の支払い上限額を月額37,200円から44,400円に引き上げることを計画しており、今後負担に耐えきれない高齢者が出てくることが懸念される。
また今年の8月からの制度改正で、遺族年金などを勘案することにより利用者負担段階が2段階から3段階に引き上げられた入所者数は1,379人と(18.7%)と、影響の大きさが数字でも示された。昨年の補足給付の改悪など、ここ数年特養などの施設入所者を対象とした改悪が連続して実施されており、入所者の痛みは限界に来ている。  

施設との円滑な関係の構築は連絡を密に
(5)看取りに対する連携がカギ
特養が配置医師契約を結んでいる医療機関数は、一施設当たり1.4医療機関と回答。ほとんどは内科標榜だが、精神科・外科が比較的多いのは、認知症患者や早期退院患者の入所者が増加してきている現れであろう(表8)。
配置医師の対応への満足感については、「満足」が半数を超えた(57.9%)が、「不満(9.6%)」、「どちらともいえない(32.5%)」との回答も一定数あった(表9)。
入所者の急性増悪時の対応について、「ほぼ配置医師が対応」するのは17.9%に過ぎず、「配置医師と救急車対応が半々(36.6%)」、「ほぼ救急車を呼ぶ(45.5%)」という結果であった(表10)。
配置医師との間で困っていることを自由記載欄で聞いたところ、「看取り期での協力が得られない」など、看取りや緊急時にコミュニケーションや連携が不足している不満が挙げられた。
看取りや緊急時の取り決めを日頃から密にしておくことで、施設側との連携を円滑に進めることができる可能性は高い。また互いに感じる不安や不満はコミュニケーション以外に、診療報酬や介護報酬、給付調整などにより、診療行為や介護に対する適正な評価がなされていないことにもよる。保険医協会では、2018年診療報酬と介護報酬の同時改定を見据え、今後は配置医師の意見も集めながら、不合理是正を厚労省などに訴えていく。  

【配置医師への思い・困っていること(自由記載・抜粋)】
・配置医師が開業医のため、看取りの利用者が亡くなった際に急な呼び出しをかけるのが申し訳ない。
・配置医師不在時(年末年始等)の看取り者への対応。
・夜間対応が難しく、現場判断に迷う。医師が来ない。
・医師が休暇の場合、急変時の対応が困難で、やむを得ず救急搬送する場合がある。
・年末年始・お盆・GW・診療時間内など、医師の不在時に限って患者の容体が急変する。
・認知症患者の増加により、専門医と連携がとれると良い。
・予定時間に現れないので、入所者が1〜2時間、何もできず待たされることが多い。

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