より良い医療制度をめざす活動

【16.10.05】地域医療構想を巡るアンケート結果

在宅医療機関の理解は不十分

地域医療部では8月1日〜31日にかけ、県内の在宅療養支援診療所700医療機関を対象に、地域医療構想及び2016年診療報酬改定をテーマにアンケートを実施した。
回答は138医療機関(19.7%)から寄せられた。以下、地域医療構想に関連した結果を抜粋して報告する。

●強化型以外の支援診でも半数以上が看取り・緊急往診を実施
(1)看取り・緊急往診の実績は約8割
今回回答があった在宅療養支援診療所(以下支援診)に届出状況を聞いたところ、「強化型支援診(単独型)」(1.4%)、「強化型支援診(連携型)」(44.2%)、「強化型以外の支援診」(51.5%)であった(表1)。
看取り数及び緊急往診数は、強化型以外の支援診の施設基準には規定されていないが、その実績の有無を尋ねたところ強化型以外の支援診でも半数を超え実施されており、全体でも8割近くが実施していた(表2)。
また在宅医療を実施している施設の設問では、戸建て住宅やマンション、サ高住が大半を占め、施設では介護付き有料老人ホームや認知症高齢者グループホームで実施しているとの回答が目立った(表3)。  

(2)他科医療機関との連携はこれからの課題
在宅医療を行うにあたって、日常的に連携を実施している他の医科医療機関の診療科を聞いたところ、半数以上が「内科」(73医療機関)と回答し、「整形外科」(同28)、「外科」・「眼科」(共に25)と続いた(表4)。「内科」と回答した多くは、連携を構築している支援診(連携型)だと思われる。
今後在宅患者が増加していく中で他科との連携は重要となってくるが、まだ十分な体制が構築されているとは言えず、連携のあり方や診療報酬の問題など、今後の課題となっている。
歯科医療機関や訪問看護事業所などの他職種と連携しているかとの問いには、多くの支援診が何らかの他職種と日常的に連携していると回答した。その濃淡は様々だが、在宅医療を進めていく上で他職種との連携は必須となっていることがわかる。

●地域医療構想についての理解は不十分
(3)内容について「よくわからない」「全く理解できていない」が過半数
愛知県が進める地域医療構想について、どの程度理解しているかを聞いたところ、「あまり良くわからない」「全く理解できていない」があわせて51.5%と過半数を占め(表5)、地域の構想区域内における必要病床数について納得しているかについても「よくわからない」との回答が50.4%となる(表6)など、地域医療を支える支援診においても地域医療構想への理解が進んでいない状況だ。愛知県には医療関係者の理解を得るための丁寧な説明が求められる。
(4)地域の人材や施設は不足、今後の対応は厳しい
また、愛知県が地域医療構想を進める中、地元での人材や施設など医療資源の充足度を聞いたところ、一部または多くの地域で医療資源が不足していると認識している支援診が78.8%となった(表7)。また、今後地域で在宅患者が増加した場合に対応できるかとの問いには、「十分対応できる」と回答したのは21.5%で、「厳しいが何とか対応」または「無理」との見通しを示した医療機関が78.5%と、多くの医療機関が厳しい見通しを持っていることが明らかとなった(表8)。
現状でも在宅医療を支えることが厳しい状況の中で、愛知県は地域医療構想で今後増々在宅患者が増えるとしている。県は在宅医療を支える医療機関や介護施設などへの支援を積極的に行うと共に、今後の支援のあり方や考え方を更に具体的に示し、関係者の理解を求めるべきだ。
(5)安心して在宅医療ができるよう診療報酬の増額を
今後、地域包括ケアを含む地域医療を充実させるために必要なことを聞いたところ、「在宅医療を担う医療機関・医師数の増加」(77医療機関)、「診療報酬の引上げ」「医療・介護などの多職種連携」(共に73)などが多くを占めた(表9)。自由記載欄に寄せられた意見でも、「2年ごとに大幅に変わるルールを何とかして欲しい」と指摘されている。国は複雑な診療報酬で在宅医療を締め付けるのではなく、医療機関が安心して在宅医療を実施できる体制の支援と共に診療報酬の増額を行うべきだ。  

 

【地域医療構想について寄せられた意見(抜粋)】
・地域医療(特養、老人ホーム、訪問看護など)を充実してから病床削減を。現状は病床削減が先に進んでいきそう(医療難民が増加するだけでは?)。
・削減ありきではなく、亜急性期病院、看取り対応病院の増床を望む。
・超高齢化社会、多死社会に対応するために、これまでの「治療を求め続ける医療」から「ケアを主体とする医療」への転換について、一般の方々および医療従事者も含め、考える機会を多く作る必要があると思う。
・在宅を長年行っているとやはり介護のためにご家族の生活が犠牲になっていることが多すぎると思う。施設に入れたいけれど金銭的に無理なので生活を犠牲にする――何か間違っていると思えてならない。
・在宅を担う診療所一カ所あたりの患者数が増える形になっていくと思う。手間が増すが診療報酬は反比例して減ってしまう現状は納得しがたい。

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