より良い医療制度をめざす活動

【16.05.15】シリーズ国政ウォッチ(2)

アベノミクスで国民生活、経済は疲弊〜社会保障充実で内需拡大こそ

「三本の矢」「新三本の矢」……政府は「成果」を強調
二〇一二年に政権復帰をした安倍首相は、「三本の矢」(「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」)を柱とするアベノミクスを打ち出した。そして、アベノミクスの成果として、「十五年以上続いたデフレ状況ではなくなり、デフレ脱却に向け着実に前進」「企業業績は顕著に改善」「雇用情勢は改善」と成果を強調している。
その後、二〇一五年九月には、「アベノミクス第二ステージ」として「新三本の矢」(「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」)を柱にした「一億総活躍社会」を打ち出した。
しかし、アベノミクスは政府がいうような成果を上げているのだろうか。「大企業が潤えば国民も豊かになる」というトリクルダウン効果は起きているのだろうか。
「中日新聞」社説が「第一ステージの総括もなしに、いきなり次のステージだというのは、アベノミクスの失敗から目をそらさせるつもりか。もっと言えば、選挙から遠い時期に特定秘密保護法や安保法を強硬に成立させ、支持率が下がると新たな経済政策を持ち出して目先を変える。こんな国民をばかにした話はない」(二〇一五年十月九日付)と評したのは的を射ている。
「安心につながる社会保障」というが、二〇一六年度予算では、社会保障費の伸びは年一兆円程度の自然増があるといわれるところを、六千七百億円までしか認めず、さらに最終五千億円まで削り込んだ。
安倍政権の下で、景気の回復を尋ねた「読売新聞」四月四日付世論調査は、「実感している」一八%、「実感していない」七七%、同じく「毎日新聞」四月十九日付は、アベノミクスを「評価しない」五四%、「評価する」三三%など、アベノミクスに対する国民の受け止めは冷ややかだ。
国民生活や経済指標は軒並み悪化
国民生活や経済をめぐる指標は、軒並み悪化しており、アベノミクスの総括もなしに第二ステージに目先を転じるのは国民生活無視の暴走である。アベノミクスが破綻していることは、今や明白であり、可処分所得三十年前水準(総務省「家計調査」)、実質賃金二十七年間で最低(厚労省「毎月勤労統計(確報)、二〇一六年一月」)、正規雇用数とその労働者数全体に占める割合は過去最低を記録(総務省「労働力調査」)など、枚挙にいとまがない。(資料)

社会保障充実で内需拡大を
今必要なのは、社会保障へ大きく財政出動を行い、国際的にも著しく低い所得再配分機能を高めることである。医療や介護・福祉分野の産業別需要波及効果、景気拡大効果は全産業平均や公共事業を上回っているとする指摘もある(関野秀明下関市立大学教授)。

資料

破綻したアベノミクス…安倍政権の3年間でくらしも経済も悪化
・貧困高齢者160万人増……生活保護費の受給水準以下で暮らす高齢者が、最近5年間で少なくとも約160万人増えた可能性。「国民生活基礎調査(2014年)」を分析し、生活保護基準を参考に住居費などを計算し、最低限の生活に必要な年収を1人当たり160万円に設定、この額に満たない高齢者世帯を貧困状態と見なして試算。その結果、高齢者全体の4分の1を占める893万人が該当。(立命館大学唐鎌直義教授・社会福祉学調査)(「中日」3月3日付)
・貧困子育て世帯率、20年で2.5倍……子育て世帯のうち収入が生活保護基準以下の割合は2012年で13.8%だったことが山形大学の戸室健作准教授の研究でわかった。1992年から20年間で2.5倍に急増。深刻化する「子どもの貧困」を裏付けている。(「朝日」2016年2月19日付)
・可処分所得30年前の水準……2人以上勤労者世帯の実質可処分所得が30年前以下の水準に落ち込んでいることが明らかに。実質可処分所得は、1997年の月額47万9302円を頂点に減少に転じ、2015年には40万8694円まで低下(1985年は41万3835円)。(総務省「家計調査」)
・実質賃金27年間で最低……2016年1月の実質賃金指数は、1990年以来最低の81.7(2010年平均=100)に。2015年平均の実質賃金指数も94.6で、1990年以来の最低を記録。(厚労省「毎月勤労統計(確報)、2016年1月」)
・資本金10億円以上の大企業の内部留保300兆円に……2012年10−12月期259.9兆円→2015年10−12月期300.3兆円(+40.4兆円)(財務省「法人企業統計」)
・大企業も景況感悪化……企業の景況感を示す業況判断指数は、大企業・中小企業とも2015年12月調査より悪化。(日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」2016年3月分)
・生活保護世帯過去最多を更新……163万4,185世帯(2015年12月)で、過去最多を更新。65歳以上の高齢者世帯は全体の49.6%。このうちひとり暮らしが90.5%を占めている。(「毎日」2016年3月3日付)
・飽食日本は過去の話……エネルギー、タンパク質の平均摂取量は敗戦後すぐの値以下。タンパク質は1950年代初頭のレベル。(立命館大学松尾匡教授)
・家計の利子損失392兆円……日銀の低金利政策の下、1991年〜2014年の受取利子と支払利子の差額を比べると家計部門は差し引き392兆円(年平均16兆円)のマイナスなのに、企業部門は578兆円(年平均24兆円)のプラスとなっていることを、日銀資料をもとに指摘。(2016年3月10日、参院財政金融委員会、小池晃議員(共産)の質疑資料から)
・正規雇用数と割合は過去最低を記録……安倍政権下で正規雇用数とその労働者数全体に占める割合は過去最低を記録している。(総務省「労働力調査」)
 

・低迷する消費。エンゲル係数は急上昇……「アベノミクスの一番の想定外は消費の弱さではなかろうか。消費増税とそれに続く食品を中心とする値上げが一因になっていることは間違いない。エンゲル係数は90年以来の高水準まで急上昇している」「個人消費の弱さが目立っている。2014年までは『消費増税の反動減からの回復』が消費のテーマだったが、2015年に入っても一向に回復の兆しはみられない」(日本リサーチ総合研究所「金融経済レポート」2016年3月18日)

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