より良い医療制度をめざす活動

【16.05.15】請願に「ハンコ」は愛知だけ

県議会の請願押印義務は廃止を

愛知県議会への請願には「押印」が必要なことはご存じだろうか。私学助成をすすめる会や保育・学童保育などの署名に応じた経験のある方なら誰しも心当たりがあるだろう。しかし、この取り扱いは都道府県議会では愛知県のみということが明らかになった。保険医協会は請願押印義務の廃止を求めて県議会に改善を求めることにした。

保険医協会が全国の都道府県議会の取り扱い状況を調べたところ、請願者(連名者を含む)の押印を義務としているのは、愛知県のみということがわかった。
調査は、請願の取り扱いについて、「請願者の署名に押印は必要か」「複数人での提出のために署名簿を添付する場合、連名者についても押印が必要か」を、全都道府県のホームページで確認し、電話による聞き取りやメールによる確認作業も行った。その結果、請願者・連名者ともに押印を必須としているのは愛知県だけということが判明した。
愛知県の取り扱いは、〈資料1〉の通り、「愛知県議会会議規則」の「請願書の記載事項等」を規定した部分に「請願者の住所及び氏名を記載し押印しなければならない」と明記されている。他県の場合、「請願者の住所及び氏名を署名または記名押印しなければならない」など、署名があれば押印は必要ない規定となっている。

資料1 愛知県議会会議規則(1956年10月制定)
第9章 請願
(請願書の記載事項等)
第86条 請願書には、邦文を用い、請願の趣旨、提出年月日、請願者の住所及び氏名(法人の場合には、その名称及び代表者の氏名)を記載し押印しなければならない

300万筆が無効?
2015年12月の愛知県議会の例で見てみよう。
「愛知私学助成をすすめる会」が提出した「私学助成をもとめる」請願は、425万筆を提出したが、議会に報告された提出数は、122万筆と、実に300万筆以上が「無効」と取り扱われている。保育団体の署名も30万筆提出して84,000筆など、提出した多くの団体の署名で「無効」とされている。「無効」のほとんどは押印がなかったことによると思われる。
これは、多くの県民の請願の意思を門前払いしたことになり、民主主義の問題である。
資料2 署名提出の実例(2015年12月県議会)
請願提出団体請願名提出筆数議会での受付筆数「無効」とされた筆数
愛知私学助成をすすめる会「『教育の公平』をめざして、学費と教育条件の公私格差を抜本的に是正するために私学助成をもとめる」請願4,250,000筆1,229,440筆3,020,560筆
愛知学童保育連絡協議会「学童保育施策の充実をもとめる」請願68,037筆38,716筆29,321筆
愛知保育団体連絡協議会「安心して子どもを生み育てられるよう保育の公的責任の堅持と保育・学童保育施策の拡充を求める」請願300,019筆84,005筆216,014筆

時代遅れの押印義務は廃止を
いまや行政は正式文書でも公印廃止が当たり前で、店の支払いに使うカードはサインのみで契約が成立している。全国で愛知県だけが請願署名に押印を義務とするのは時代遅れも甚だしい。愛知県は、「しなやか県庁創造プラン(愛知県第六次行革大綱)」(2014年策定)で「多様な県民ニーズへのしなやかな対応」を掲げているが、今回の押印義務規定は、しなやかさに欠けるものである。
なお、国会や名古屋市会などへの請願署名では、押印の必要はない。
保険医協会は、押印義務の廃止を求める請願を県議会に提出する予定だ。

注:「署名」は自筆で手書きしたもの、「記名」は自署以外の方法、つまりパソコンでの印字や氏名のゴム印などを指す。「押印」は印鑑を押す場合も、指先に朱肉をつけて押す拇印でも同じ効力がある。

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