より良い医療制度をめざす活動

【14.10.05】請願署名にご協力を(2)

新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求める請願署名

 保険医協会は、「新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求める請願」署名を開始した。保険のきかない医療を広げる計画を食い止め、安心の地域医療実現のために、会員各先生のご協力をお願いしたい。今回は、「混合診療」について解説する。

Q&Aで考える混合診療

Q1 混合診療解禁は、どんな問題があるのか。
A1 (1)不当な患者負担の増大を招くこと、(2)安全性・有効性の確保できない「医療」を助長し、結果的にその治療にかかわる医療に保険財源も使用されること、(3)経済力によって受けられる医療に格差が生じる、(4)2004年の厚労・規制改革両大臣の基本合意「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」に反する――などの問題がある。

Q2 混合診療を解禁すると、なぜ患者負担が増大するのか。
A2 多くの病院が赤字経営状態で、混合診療が解禁され、何の規制もない自由診療との併用が常態化すれば、病院側は、好むと好まざるとにかかわらず、様々な名目で自由診療部分の費用を増やす努力を払うことになる。技術料や治療行為にまで保険外診療が併用されたら、際限のない保険外負担の拡大に道を開くことになる。

Q3 海外で標準的に使用されている未承認薬問題は、どうすればよいか。
A3 世界標準となっている有効で安全な医薬品があるとすれば速やかに薬事法上の承認を行い、保険適用することが、本来の解決策である。
 国内の未承認薬をめぐっては、厚労省の先進医療会議(2014年4月17日)で「以前は、海外だけで承認されているよい薬剤も確かにあったが、今現在はそこまでの実感はない。未承認薬には日本に少ない疾患の薬剤など、国内での必要性が高くないものも多い。海外と疾患プロファイルが違う中で、やみくもに日本に導入するのは危険」(国立がん研究センター企画戦略局長藤原康弘氏)、「10年ほど前は未承認薬を診療ガイドラインに記載せざるを得ない状況だったが、最近はほとんどなくなった」(聖路加国際病院院長福井次矢氏)など、未承認薬の問題は解消報告されている。(「メディファクス」2014年4月18日付)

Q4 保険適用には時間がかかり、それまで待てない患者は多いのでは。
A4 有効性と安全性が確立している医療技術は、速やかに中医協審議を経て、保険適用すべきであり、そのためのルールの透明化と迅速化を図るべきである。
 薬事法上の承認後、保険収載まで3カ月のタイムラグがあるのも問題であり、薬事法上の承認と保険収載を同時にすすめることも必要である。

Q5 それでも保険適用されなかった場合に、その薬が使いたいのであれば、混合診療として認めたほうがよいのではないか。
A5 保険適用されなかった医薬品は、有効性や安全性等に問題が指摘されたものと考えられる。
 このような薬の使用を混合診療として保険外で認めれば、結果的に問題のある医薬品の使用が野放しとされ、重大な副作用や薬害を生むおそれがある。副作用などの補償についても、医薬品副作用被害救済制度の支給対象とならず、民間保険を使うしかない状況にある。保険外使用でも安易に認めるべきではない。

Q6 混合診療が解禁されると、新薬の開発者が保険収載の申請をしなかったり、遅らせたりする心配があるのではないか。
A6 その通りで、混合診療が解禁されると、新薬などが自由診療でも使いやすくなるので、保険収載される薬価基準の水準に不満を持つ開発者は、価格設定に縛られない自由診療での使用を優先し、保険収載の申請をしなくなる恐れがある。結果として、革新的な新薬の保険収載が遅れる可能性が危惧される。
 逆に、混合診療が禁止されておれば自由診療では普及が望めず、開発者は積極的に保険収載の申請に努めることになる。

Q7 現在、先進医療を評価療養として、保険診療と保険外診療との併用を認めていることについて、どう考えるか。
A7 先進医療は、有効性と安全性が確立している標準治療とは違い、実験治療という側面が強い。従って、先進医療は、評価療養として患者に保険外負担を強いる方法ではなく、国が研究費として負担すべきである。また、先進医療が医療保険財政を圧迫しているかのような見方もあるが、102ある先進医療技術(患者数14,493人)の医療費全体に占める割合は、0.0365%とわずかでしかない(2011年7月〜2012年6月、中医協資料)。

Q8 混合診療解禁の本当の狙いは何か。
A8 がんの未承認薬などを口実にしているが、第一の狙いは、公的医療保険の給付範囲を縮小し、国の負担を減らすこと。第二の狙いは、患者の保険外負担を増やすことによって、民間保険を売り出して、医療を儲けの対象にすることにある。
 米国政府が、日本に「混合診療の解禁」と「株式会社による医療機関経営の解禁」を強く求めている点も見逃せない。
 財務省が「財政健全化についての報告書」(2014年5月30日)で「一旦保険適用とされた医療技術等についても費用対効果が低いものは保険適用から外し保険外併用療養の対象とすること(『逆評価療養』)」と主張しているのは、公的医療保険の給付範囲縮小の一つである。
 さらに、財務省主計局がまとめた「医療制度改革の論点」(2001年10月)では、保険外し・混合診療解禁の対象として、MRIなどの高度医療機器の利用や手厚い介護体制の提供などを例示している。

Q9 新たな保険外併用療養制度として、当初の「患者選択療養」から「患者申出療養(仮)」に変わったので、問題はなくなったのではないか。
A9 「患者申出療養」に変わっても、患者の自己責任のもとで、対象となる疾病の種類や治療法に制限がなく、実施医療機関も臨床研究中核病院に限定せず、患者の身近な医療機関も想定されており、事実上の混合診療の全面解禁といえるものである。
 また、政府は安全性・有効性の確認や保険収載の道を担保したと説明しているが、薬事法の承認がないものも現行制度の対象に含まれるなか、効率性を優先した審査期間の短縮によって、安全性・有効性の証明が形骸化し、想定外の薬害や医療事故が起きる危険性がある。
 日本難病・疾病団体協議会も「審査期間を大幅に短縮することで本当に安全性、有効性が担保できるのかどうかの懸念はぬぐえません。また、そもそも『現行の先進医療の評価の仕組みには規制が多く困難な病気と闘う患者が救えない』と言いながら、それがどういう病気の患者で、そういう埋もれた画期的な治療法があるのかどうかも示されていません」と批判している。

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