より良い医療制度をめざす活動

【14.09.25】請願署名にご協力を(1)

新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求める請願署名

 保険医協会は、「新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求める請願」署名を開始した。受診抑制や健康悪化にもつながる患者負担増を食い止め、安心の地域医療実現のために、会員各先生のご協力をお願いしたい。今回は、新たな患者負担増計画や患者負担軽減を中心に解説する。(愛知保険医新聞2014年10月5日号で「混合診療」について解説予定)

新たな患者負担増計画

 別掲の表1のように、来年1月からの通常国会に法案提出が計画されているのは、(1)紹介状なし大病院受診時の定額自己負担導入、(2)入院時食事療養費の自己負担引き上げ(一般所得者は一食260円を460円へ、(3)混合診療の解禁・拡大につながる患者申出療養(仮)の新設がある。このほかにも、法案提出時期は明らかではないが、各種政府会議で繰り返し議論されている項目として、(1)75歳以上の患者負担を原則1割から2割に引き上げ、(2)70歳以上の高額療養費制度における外来特例を廃止などがある(表2参照)。
 「紹介状なし大病院受診時の定額自己負担導入」については、社会保障審議会医療保険部会で議論が行われ、「金額レベルは、社会保障制度改革国民会議で1万円という話も出たようでございますが、紹介状の作成が2,500円ぐらいだと思いましたけれども、それ以上が最低ライン」(健保連代表)などの意見が出され、厚労省も「過半の患者が紹介状を持たずに入院」している現状を指摘し、「定額自己負担の金額については、5,000円を下限とする」との委託調査研究報告を用いるなど、5,000円などの定額自己負担化が議論されている。しかし、上記調査研究報告には「5,000円、1万円といった高額の自己負担が導入された場合には、特に地域の所得水準が相対的に低く、近隣に診療所などの医療資源に乏しい地域で外来患者数が大幅に減少する可能性を否定できず経営的観点から不安視する声」「自治体立病院では、住民の税金から繰入をする上で、さらに新たな高額な自己負担をお願いすることは困難ではないか」など、定額自己負担化に否定的な声が多く紹介されている。
 「入院時食事療養費の自己負担引き上げ」については、上記医療保険部会で日医代表から「入院中の食事は治療の一環であると考えておりますので、基本的にはこれ以上自己負担をふやすべきではない」「『在宅療養との公平性を確保する観点』とありますが、今は、在宅療養も普通の食事で済むような方ばかりではなくて、慢性腎不全のような方もいらっしゃるわけですから、むしろ在宅療養で治療食が必要な場合の負担を軽減するという意味で、公平を確保するという視点が必要ではないか」などの批判も出ており、政府の計画は思惑通りに進んでいるとはいえない。
(つづく)

表1:新たな患者負担増計画 主な項目と実施予定等

2015年通常国会へ法案提出を予定している項目
項目実施予定
(1)紹介状なし大病院受診時の定額自己負担導入(200床以上の病院を受診時に5000円以上の定額負担とする)2017年度までを目途に順次実施
(2)入院時食事療養費の自己負担引き上げ(一般所得者の1日当たり食費780円(1食260円)を1380円(1食460円)へ)
(3)患者申出療養(仮)の新設2016年度

表2:新たな患者負担増計画 主な項目

法案時期など未定だが、各種会議で検討されている項目
項 目
(1)75歳以上の患者負担を原則1割から2割に引き上げ
(2)70〜74歳の患者負担を原則2割から3割に引き上げ
(3)70歳以上の高額療養費制度における外来特例を廃止する。
(4)市販類似医薬品(漢方・風邪薬など)の保険適用除外
(5)受診時定額負担を導入(例えば1回100円)
(6)「参照価格制度」導入(先発医薬品の保険償還額を後発医薬品に基づいて設定し、それを上回る部分は患者負担とする)
(7)「逆評価療養」(保険外併用療養において、評価療養について費用対効果を厳しく検証する、保険適用とされた医療技術等について、費用対効果が低いものは保険適用から外す)
(8)傷病手当金、出産手当金の給付を削減

〈患者負担増がもたらす受診抑制・健康悪化〉
◎日本医療政策機構「日本の医療に関する世論調査」(2013年7月発表)……「深刻な病気にかかったときに医療費を払えない」ことに7割が「不安を感じる」と回答。さらに、実際に26%が「過去12カ月以内に経済的な理由で受診を控えたことがある」と回答。
◎国立社会保障・人口問題研究所「生活と支え合いに関する調査」(2013年7月発表)……「過去一年間に必要だと思うのに医療機関にいけなかった経験がある」と14.2%が回答、このうち「公的医療保険に加入してはいたが、病院や診療所で医療費を支払うことができなかった」は65歳以上で9.2%、20〜64歳で15.3%もいる。
◎日医「患者窓口負担」アンケート調査(2012年9月)……「経済的な理由により受診しなかったことがある患者のうち半数強が受診を控えた結果、症状が悪化した。受診差し控えを経験した患者の割合は、患者一部負担割合に比例して多い」と分析、負担増に警鐘を鳴らしている。

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