より良い医療制度をめざす活動

【14.04.05】特定秘密保護法の廃止を求める2つのお願い

患者との信頼関係に深刻な影響

 政府が「秘密の範囲」を勝手に決め、国民には何が秘密かも知らされない「特定秘密保護法」が昨年末の国会で強行成立し、今年中の施行が企図されています。
 保険医協会では、廃案を求めて「医師・歯科医師緊急アピール賛同の取り組み(589人が賛同)」「アピール賛同発表の記者会見と街頭宣伝」などの取り組みを行ってきました。
 しかし、医療機関には法の適性評価制度で、過去の通院歴などの回答義務があることが明らかになり、診療現場での問診・患者との信頼関係に深刻な影響を及ぼすことなどが懸念されます。
 このような法律は廃止するしかありません。保険医協会は、改めて(1)医師・歯科医師アピール署名、(2)廃止を求める請願署名の二つに取り組むことを決めました。昨年末に寄せられた廃案を求める五百八十九人の賛同をさらに広げて、廃止の声を大きくするために、多くの会員のご賛同・ご協力をお願いいたします。

特定秘密保護法は廃止を

「一般の国民が処罰される?」→「いいえ、されません。」
「政府が都合の悪い情報を隠す?」→「いいえ、できません。」
 これは、自民党作成の「特定秘密保護法―3つのポイント―」(2013年12月24日発表)の冒頭の一節だ。同党は、特定秘密保護法への国民の批判・反対世論が根強いことを背景に、法成立後もこのような文書を作成して説明の必要に迫られている。

基本的人権/国民主権/平和主義/国政調査権……違憲の数々

 特定秘密の指定事項は、防衛、外交、特定有害活動防止、テロ防止の4分野とされるが、その内容はあいまいで、行政機関の裁量で指定が可能で、指定が適切かどうかをチェックできないまま、半永久的に国民の目にさらされない仕組みになっている。また、TPP問題や原発問題などへの民間団体による調査や取材など、広範な市民活動や平和運動も対象になり得ることがこの間の国会審議で明らかとなっており、特定秘密保護法が取り締まる対象とするのは外交、防衛などの一部の公務員と関係業者などとする政府の言い分は当たらない。
 秘密事項を政府が決め、何が秘密かも国民に知らされないなどは、戦前の軍機保護法・国防保安法を想起させるものであり、国民主権、恒久平和、基本的人権の尊重を掲げた日本国憲法の下で到底許されない。
 「中日新聞」2月14日付は、「秘密法 憲法脅かす」として、特定秘密保護法が、日本国憲法の三原則をはじめとした重要な規定に反することを指摘している(右表参照)。同記事で青井未帆氏(学習院大学教授)が「憲法が規定している権力の統制は議院内閣制の下、国会を屋台骨としている。秘密保護法は行政の権限を肥大化させ、国会を無力化する」と、この法律の問題を端的に指摘している。

医療への影響が深刻な「適性評価」

 特定秘密取扱者に対する「適性評価」実施は、医師・歯科医師や医療機関関係者にとっても重大な内容を含んでいる。行政機関から照会を受けた医療機関には、過去の通院歴などを回答する法的義務があることが国会審議で明らかになり、医師・歯科医師や医療機関が有無を言わさずこの法律に巻き込まれることは重大問題である。医学界では、日本精神神経学会が「特定秘密保護法における適性評価制度に反対する見解」(3月15日)を発表し、(1)精神疾患、精神障害に対する偏見、差別を助長し、患者、精神障害者が安心して医療・福祉を受ける基本的人権を侵害する、(2)医療情報の提供義務は、医学・医療の根本原則(守秘義務)を破壊する、(3)精神科医療全体が特定秘密保護法の監視対象になる危険性が高い――と主張している。
 医師・歯科医師や医療機関への影響については、本紙面別掲の靫妻杆郢里隆鷙栃造咾法∧矛濃駑舛鮖仮箸気譴燭ぁ

廃止を求める取り組みにご協力を

 国民世論は法成立後も「廃止」「修正」の声は75%を占める(中日新聞、1月27日)。日弁連、各県弁護士会も「廃止」を主張し、国会では民主・共産・維新の会も「廃止」や「修正」を求めている。それにも関わらず、国会の多数を頼りに法の施行を進めるのは、国民とのねじれを深めるものであり、与党のおごりというほかない。
 保険医協会は、特定秘密保護法の廃止を求め、「医師・歯科医師アピール署名」や「廃止を求める請願署名」の推進などの取り組みを各界との協力・共同で進める計画です。多くの会員の協力をお願いしたい。

〈資料〉

本田宏 氏(埼玉県済生会栗橋病院院長補佐)
「今回の秘密保護法は、「ヘルシンキ宣言」(1964年世界医師会で採択された医学研究の倫理的原則)の規定に抵触する可能性が高い。」(ヘルシンキ宣言では)「ナチスと同じ人権侵害を二度と繰り返さないため『医師は非倫理的行為を求める法には従わない』ことを決めたのである。」「国が求めれば医療者が患者の個人情報を開示しなければならず、患者の人権が損なわれ、患者との信頼関係が崩壊し、医療行為が成り立たなくなる。」(「毎日新聞」2014年1月15日)

上昌広 氏(東京大学医科学研究所特任教授)
「ジュネーブ宣言では『たとえ患者が亡くなった後であろうと、信頼され打ち明けられた秘密を尊重する』という規定があります。今こそ、この規定の意義を考え直すべきでしょう。」「(第二次世界大戦後の)ドイツでは、国家命令に従い業務を遂行しただけの医師も責任を追及されました。」「(わが国では)検疫法に基づく強制隔離は今でも有効です。新型インフルエンザ流行時には医学的エビデンスに乏しいにも関わらず、多くの医師が政府の要請を受けて、検疫に従事しました。」(「医療タイムス」2014年1月13日)

特定秘密保護法が違反する恐れがある憲法の主な規定
(「中日新聞」2月14日付から抜粋)
憲法の三原則
国民主権・基本的人権尊重・平和主義
多くの基本的人権を侵害。重要情報を政府が隠したまま行われる選挙は国民主権を形骸化。
9条(戦争放棄、軍備・交戦権の否認)外交、防衛、テロに関する情報を秘密にして平和主義を脅かす。
11条(基本的人権)国民の知る権利や表現の自由など、基本的人権の多くを侵害。
19条(思想、良心の自由)国民の知りたい情報が隠される。
21条(表現の自由)特定秘密取得が処罰される可能性があり、国民の知る権利を侵害。取材活動も制約。
23条(学問の自由)外交、防衛に関する重要情報が公表されず、学者の研究に重大な影響。
33条(逮捕の要件)特定秘密が不明確なまま逮捕される恐れ。
41条(国会の立法権)国会が、何が特定秘密か分からず、外交や安保政策で政府をコントロールできない。
62条(議院の国政調査権)衆参各院が国政調査権を行使しようとしても、政府が特定秘密に当たるとして拒否。
63条(首相や閣僚の議院出席義務)議院から、首相や閣僚が出席と答弁を求められても、特定秘密を理由に拒みかねない。
この他、13条(幸福追求権)、35条(捜索・押収に対する保障)、37条(刑事被告人の権利)、57条(国会の秘密会開催)、82条(裁判の公開)、97条(基本的人権の不可侵)なども。

「医師・歯科医師アピール」実施要領

◎署名用紙…月刊保団連四月号に用紙を同封しています。先生ご自身の医師・歯科医師署名です。(ゴム印でも可)
◎返送方法…ファクシミリでご返信をお願いします。
愛知県保険医協会行きFAX 052-834-3512
◎締め切り…4月末日
◎提出…賛同いただいたお名前を連名にして、対外的にアピールするとともに、政府に提出します。

「特定秘密保護法の廃止を求める請願署名」実施要領

月刊保団連4月号同封の「『特定秘密保護法』の廃止を求める請願署名」にご協力ください。

一.署名要領(5人連記署名用紙2枚を同封しています)
先生とご家族・従業員等をはじめ、患者さんにも協力していただき署名をひろげてください。全部埋まらなくても結構です。住所が同じ場合は、“同上”でも結構です。未成年の方の署名も有効です。
署名用紙の追加をご希望の方は、協会事務局までご連絡ください。
二.返送方法…署名用紙に同封の返信用封筒(切手不要)をご利用ください。
三.締め切り…5月末日(今国会会期末までに提出します)
<連絡先> 愛知県保険医協会・署名係まで。
名古屋市昭和区妙見町19-2
TEL 052-832-1346

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