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【14.03.15】《検証》「消費税増税分は全て社会保障に使います」は本当か

 4月1日から消費税が5%から8%へと大幅に引き上げられる。
 政府はこの間、消費税増税分を「全額社会保障に回す」と答弁していたが、果たしてこれは本当だろうか。財務省の予算説明資料を読み解いてみよう。

 2月28日、衆院本会議で2014年度予算案が自民、公明などの賛成多数で可決され、予算の衆院優先規定により、参院で可決されなくても30日後に自動成立することから、来年度予算が3月末までに成立することが確定した。
 消費税は1989年に3%で導入され、1997年に橋本内閣が5%に引き上げて以来、実に17年ぶりの引き上げとなる。

社会保障関係費30兆円を突破も生活密着部分で切り捨て

 財務省の予算説明資料「平成26年度予算のポイント」(以下「予算のポイント」)によると、14年度予算案は「経済再生・デフレ脱却と財政健全化をあわせて目指す予算」「社会保障・税一体改革を実現する最初の予算」とされており、「歳出各分野における効率化」として、社会保障では「自然増を含め、合理化・効率化に最大限取り組む」と明記して、社会保障切り捨ての方向を鮮明にしている。
 財務省は2月以降、「社会保障と税の一体改革説明会」を全国各地で開き、弁明に追われている。「消費税率はなぜ引き上げられるのか」「税率引き上げ分は何に使われるのか」「税率引き上げにより景気は悪くならないのか」「社会保障制度は将来も大丈夫なのか」など、国民の疑問に答えるとした企画で、言い訳をするかの如くの説明会を毎日のように行わなければならないところが、消費税増税に対する国民の不安の現れである。愛知では2月28日にすでに終了しているが、静岡県では4月7日、岐阜県では4月8日、三重県では6月10日に予定されている。
 14年度予算案の社会保障関係費(厚労省予算)は、前年比1兆2854億円増(4.4%増)の30兆2251億円と、初めて30兆円の大台に乗った。しかし、消費税増税と一体となった社会保障切り捨てを各分野で実行する内容となっている。
 70〜74歳の医療費窓口負担2割への段階的引き上げ、診療報酬の実質マイナス改定に加え、年金、児童扶養手当、生活保護費などを13年度に引き続き大幅カットする方針が次々と盛り込まれ、介護保険改悪の下地造りなど、切り捨て分野は多岐に渡る。
 高齢者や生活保護世帯などの低所得者世帯は、安倍内閣の経済政策である「アベノミクス」などによる日用品・生活必需品の高騰によりすでに生活が苦しくなっている。そこに消費税増税の追い打ちを掛けたうえ、年金・各種手当てまで削られては生活が成り立たなくなるのは明白だ。診療報酬の実質マイナス改定や介護保険改悪は、地域医療を疲弊させ「医療崩壊」をもたらすこととなる。14年度予算での社会保障切り捨て、消費税引き上げは、国民の生活の土台を切り崩し、日本経済を深刻な悪循環に突き落とすものに他ならない。
 次に、「消費税増税分は全て社会保障に使います」は本当か検証していく。

増税分は「全額社会保障に回す」のか

 前出の「予算のポイント」では「『社会保障・税一体改革』による社会保障の安定財源確保」に次の様に書かれている。
●消費税収は、全て社会保障財源化される。
●26年度の消費税増収分について①基礎年金国庫負担割合2分の1の引上げ、②社会保障の充実及び消費税率引上げに伴う社会保障四経費の増への対応、残余は後代への負担の付け回しの軽減に向けられる。
 一見「全て社会保障財源化」するかのような説明であるが、ここには数字のトリックが隠されている。

「充実」は2200億円 しかも大半は保育の企業化へ

 消費税3%引き上げ分による増収分5兆円のうち、一番の眼目であった「社会保障の充実」に使われるのは2200億円(地方と合わせた公費全体でも5千億円程度)に過ぎない。しかし、その内容は、難病助成や高額療養費制度の一部改善もあるが、ほとんどの部分は保育関係で占められ、しかも保育への企業参入を促す内容となっている。また、「消費税引き上げに伴う増」として2300億円が見込まれるが、消費税増税がなければ必要のない費用である。
 「基礎年金国庫負担割合2分の1の引上げ」に2兆9500億円を充てるとしているが、これは、過去のサラリーマン増税(2007年6月の所得税・住民税定率減税廃止)や年金課税強化で確保したはずの基礎年金国庫負担分であり、消費税への付け替えに他ならない。「サラリーマン増税」は公明党が2003年に発表した「年金100年安心プラン」に基づくもので、03年の総選挙では「必要な安定財源(約2兆7000億円)について、所得税の定率減税を3段階で廃止して(略)確保します」としている。公明党を「増税戦犯」と報じたマスコミもある(東京新聞04年12月16日付)。

社会保障に使われない1.3兆円

 13年度の社会保障費は国と地方を合わせて32.9兆円が、14年度予算では消費税増税分を含め36.5兆円となっている。増税分を「全て社会保障に回す」のであれば、37.9兆円になるはずであり、差額の1.4兆円はどこに消えるのであろうか。
 「予算のポイント」では「残余(約1.3兆円)は後代への負担の付け回しの軽減に向けられる」とされており、「社会保障安定化の財源」の名目で「他の予算」に回されることになる(図)。つまり、従来は社会保障に使われてきた財源を消費税に付け替えたこととなり、その分は大企業減税にも、ムダな公共事業にも、在日米軍への思いやり予算や軍事費にも使えるということになる。

図.1.3兆円の消失トリック  

消費税に頼らない社会保障を

 「予算のポイント」では「今般の消費税率の引上げにより、社会保障4経費と消費税収(国・地方、現行の地方消費税を除く)の差額は22.1兆円から20.7兆円に縮小することになる」と書かれている。これは「社会保障財源は全額消費税で」とする日本経団連の社会保障改悪路線を突きすすむものである。
 また「現状の5%で10兆円だから、8%にしたら5兆円税収が増える」というのも取らぬ狸の皮算用であり、給与の減少が続く中での消費税増税は消費全体を冷え込ませ、税収の減少を招くことは火を見るよりも明らかである。政府は、消費税増税と法人減税とセットで行っているが、1997年の消費税増税が、賃金減少で国民所得を奪い、所得税・法人税減税もあって、その後の17年間で100兆円もの税収を失い、内需停滞、財政危機をもたらし、差し引き増収につながらなかったことを想起すべきである。
 そもそも消費税は低所得者への負担が重い、逆進性の強い不公平税制である。消費税に頼らない社会保障の実現が求められる。

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