より良い医療制度をめざす活動

【12.11.15】〔解説〕名古屋市国保料新算定方式

保険料の枠内の軽減に問題も

独自の所得控除の内容

 ①多人数世帯については、住民税の配偶者控除・扶養控除(33万円)に替わるものとして、扶養家族1人につき33万円を控除、②障害者・寡婦(夫)本人については、障害者等に係る住民税非課税限度額(125万円)と基礎控除額(33万円)との差額の92万円を控除、③障害者を扶養している場合は、障害者控除に替わるものとして、障害者の扶養家族1人につき53万円を控除。
 いずれの場合も、従来の住民税方式で控除されていた各種控除のうち、社会保険料控除や医療費控除等については控除対象にならなかった。新算定方式の控除財源は、「保険料の枠内で実施」とされた。また、従来は所得割が賦課されなかった非課税世帯の一部(全世帯の4%)で新たに賦課されることになる。

新算定方式による効果

 旧ただし書き方式への単純な移行と比較して、保険料が増加する世帯割合は34%から30%へ、増加率は1.33倍から1.20倍へと抑制。増加率が2倍以上となる世帯も7千世帯から2千世帯へ減少する。
 モデルケース(表①)でみると、①4人世帯(40歳夫婦と子2人)・収入271万円の場合、旧ただし書き方式への単純移行時1.82倍が1.29倍に、②2人世帯(65歳夫婦、配偶者は年金収入80万円以下)・収入222万円の場合、旧ただし書き方式への単純移行時1.87倍が1.56倍になど、増加額が緩和されている。  

要望反映の一方でなお負担増は残る

 保険医協会と、協会も参加する名古屋の国保と高齢者医療をよくする市民の会や愛知県社会保障推進協議会などは、「算定方式変更にあたっては、変更により負担増となる世帯を救済するため、一般財源を使って恒久的な減免制度を新設」するよう求めてきたが、従来方式と比べて負担増となる世帯の減少や負担額を抑制させる一定の控除方式を採用したことは、要望事項の一定の反映であり、全国的にも特筆できるもの。
 しかし、従来は控除されていた社会保険料控除等の控除が反映されないこともあって、増加幅は抑制されたとはいえ、モデルケースで1.5倍に増加する例は住民税非課税水準の収入しかないのに3.8万円の負担増をもたらす。
 また、新たに賦課される非課税世帯が1万4千世帯あることについては、10月29日の国保運営協議会で被保険者委員から「厳しい内容だ」との指摘も出された。
 新たな所得控除を「保険料の枠内で実施」としたことは、一般財源を使わないということであり、国保会計への一般財源投入が10年で半減している名古屋市が政令市でも最高額レベルの平均保険料となっている事態を改善し保険料自体の引き下げをはかるためにも一般財源投入が求められる。
 「恒久的」な措置をという要望との関係では、「当分の間」とされ、他都市で2〜3年の激変緩和措置が講じられているのとは違って、国保の都道府県単位化などの大きな制度改定がない限り、継続されるとの説明があった。

国の補助金削減が最大の問題

国保の危機は、1984年以降の国庫負担の大幅削減が最大の理由です。
●国保への国庫負担金は半減
 国保収入に占める国庫支出金割合 1984年 49.8% → 2010年 25.6%
●保険料はうなぎのぼり (全国平均)
 1人当たり保険料(税) 1984年 39,020円 → 2010年 83,065円 (2.1倍)
 (加入世帯の平均所得 1984年 179万円  → 2010年 145万円)
●社会保険と比べて極めて高い国保料 −名古屋市の国保料は、協会けんぽの2倍−
 【例】40歳代夫婦と子ども2人の世帯、所得300万円(給与収入約443万円)の場合
  名古屋市国保:41万円、協会けんぽ:22万円(本人負担分)
●所得に占める保険料割合(全国平均・2009年度)
 国保9.9%  協会けんぽ6.2%  健保組合4.6%

あまりにも高い名古屋市の国保料

 名古屋市国保の保険料は、2008年度から、保険料未納分の一部と葬祭費、出産育児一時金などの費用を保険料に上乗せして、大幅に引き上げられました。さらに、2010年度は国保加入者の税収減を理由にして、所得割の保険料率を大幅に引き上げました。
 そのため、名古屋市の保険料(2010年度)は、5大都市で最も高い保険料になっています。3年前(2007年度)は、高い方から4番目(低い方から2番目)であったことを考えると、名古屋市の引き上げ幅の異常さが分かります。(表②)
 また、一般会計からの独自繰入額も8年前と比べると半減しているのも、保険料の引き上げに影響しています。(表③)  

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