より良い医療制度をめざす活動

【11.03.15】国保 保険料算定方式の全国統一

保険料算定方式の全国統一
一般会計からの繰入制限

制度の危機に拍車かける2つの動き

「市町村国保に一般会計からの繰り入れをやめさせる指導」と「国保料の所得割算定方式の全国一本化」
 この2つの施策は、高すぎる国保料(税)が払えないため、滞納者が増え続ける国保制度の危機をさらに加速させる動きとして見過ごせない。2つの動きは、厚労省が2018年度からの実施をめざす「国保の都道府県単位化(広域化)」の地ならしの施策でもある。

4人家族で4万8千円値上げ
 一つ目の「国保に一般会計からの繰り入れをやめさる」動きは、昨年5月19日付けの厚労省通知「広域化等支援方針の策定について」に端を発する。
 通知の中で示された「広域化等支援方針策定要領」に「一般会計繰入による赤字の補てん分については、保険料の引き上げ、収納率の向上、医療費適正化策の推進等により、できる限り早期に解消するよう努めること」と明記されている。
 つまり、「一般会計からの繰入は早く無くせ、不足分は、保険料を上げよ、徴収を強化せよ、レセプト点検を強めよ」などと市町村に迫るものである。
 一般会計からの市町村独自繰入は、2008年度実績で、全国合計が約3700億円、愛知県合計が約230億円あり、仮にこの繰り入れが廃止されると、愛知県の国保加入者1人あたり年1万2千円、四人家族で4万8千円もの値上げとなる。
 一般会計からの繰り入れは、市町村が国保加入者のために、国保料を少しでも低く抑えるための必死の努力であり、これを廃止することは、保険料(税)の引き上げを招き、滞納世帯をさらに増加させることとなる。

算定方式全国統一は低所得層に打撃
 もうひとつの施策「国保料の所得割算定方式の全国一本化」は、現在、37自治体で採用している「住民税方式」を「基礎控除後の総所得金額等を算定の基礎とする方式」(「旧ただし書き方式」)に強制的に一本化する動きである。
 これが実施されると、愛知県内の名古屋市・豊橋市・岡崎市が採用している「住民税方式」による所得割算定方式が認められなくなり、いわゆる「旧ただし書き方式」に変更される。
 「旧ただし書き方式」に変更されると、扶養家族や障害者・寡婦などの控除が考慮されなくなるために、扶養家族の多い世帯や低所得世帯・社会的弱者の世帯の保険料(税)が大幅に引き上がる。住民税非課税世帯でも新たに所得割を課される世帯も生じる。
 厚労省は、「旧ただし書き方式への一本化」を地方税法等の一部改正案(1月29日国会提出)と、国民健康保険法施行令改正案(パブコメ募集・3月8日締切)を通し、2013年度から実施するとしている。
 今年4月から、「住民税方式」を「旧ただし書き方式」に変更する東京23区の場合、低所得世帯や社会的弱者を持つ世帯の保険料が2倍前後に引き上がり、加入者から悲鳴が上がっている。(資料1)

厚労大臣に要請 パブコメで意見提出
 保険医協会では、国に別記の要望(資料2)の実現を求め、厚労大臣への要請書の提出、厚労省との懇談の実施、地元議員への要請、政省令改正に伴うパブコメ募集への意見提出などで、国保都道府県単位化反対、一般会計からの繰り入れ存続、保険料所得割算定方式一本化反対の意思を示してきた。
 国保問題の真の解決のために、国は「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的」とした国民健康保険法第一条の理念に立ち返るべきである。
 民主党は、2009年衆院選マニフェストで後期高齢者医療制度の廃止を掲げ、国民健康保険には「政権をとったら国庫負担を9000億円増やす」と表明していた。
 今こそ、低所得者への保険料(税)引き上げ策を取りやめ、24%まで減らした「国保収入に占める国庫負担割合」を1984年当時の50%まで引き上げる方向に踏み出すことが強く求められている。

(資料1)低所得者を直撃する保険料値上がり事例
<板橋区>
夫が重度障害の夫婦と子ども3人の5人家族
年22万円→46万円(2.1倍)
<豊島区>
年収250万円・4人家族
年13万円→23万円(1.8倍)

(資料2)国保制度改善の国への要望
1.国保の広域化(都道府県単位化)反対
2.国保への一般会計からの繰り入れを制限する指導の中止
3.国保料(税)所得割算定方式の「旧ただし書き方式」への一本化反対
4.国保への国庫負担増額、保険料(税)の引き下げ
5.保険料(税)を払えない人からの保険証取り上げ禁止

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