より良い医療制度をめざす活動

【10.04.15】請願署名の解説(上)

患者負担の軽減はまったなしの課題

 保険医協会では、患者負担の大幅軽減と後期高齢者医療制度の速やかな廃止の二項目の実現を求める請願署名をスタートさせたが、本号では、患者負担軽減をめぐる諸問題について考えてみたい。
 日本の医療費の患者負担が、先進諸国の中で突出して高いことは疑いのないことだが、マスコミが報道しないこともあり、国民の中に知れ渡っている状況にはない。
 医療費の自己負担が高いために受診を控える患者が増え、国民の健康を守る上で深刻な影響を与えている。
 国立社会保障・人口問題研究所の社会保障実態調査(2007年)によると、過去1年間に医療機関に、「健康ではなかったが、行けなかった世帯」が全世帯の2%(日本全体で約100万世帯相当)あり、受診しなかった理由は、「自己負担の割合が高い」など経済的な理由が最も多い38%になっている。(資料1)
 しかも、「健康ではなかったが、行けなかった世帯」は、所得が低いほど割合が高くなる傾向が示されている。
 保険料を払えない世帯への保険証取り上げ、無保険者の急速な増加とともに、保険料を納めていても、受診にためらいが生じてしまう事態は、国民皆保険制度の危機と言わねばならない。  

連合や日本医師会も2割負担を要求

 そうした中で、異常に高い窓口負担を軽減すべきだと要求する団体も目立ってきた。
 680万人が加入する労働組合「連合」は、昨年6月に「医療保険各制度の患者一部負担は、被用者保険の被扶養者を含め2割負担に引き下げる。3歳以下の乳幼児は無料とする」よう要求している。(資料2)
 また、日本医師会も、2010年度概算要求に向けて「義務教育修了後から69歳までは2割負担、義務教育修了までは0割」とすることを求めている。(資料3)
 しかし、連合も日本医師会も、構成員に署名など具体的な運動を提起するに至っていない。
 小泉内閣当時、健保3割負担反対に向けて、連合、日医、日歯、日薬、社保協加盟団体などの取り組んだ署名は合わせて2700万筆を超えた実績がある。
 愛知県保険医協会は、2002年7月の健保改悪法案が強行採決されて以降、一貫して患者負担の軽減を求めて運動を続け、国会には既に延べ50万筆を超える請願署名を提出してきた。
 今回の署名運動が、患者負担軽減を国民的な課題へと押し上げ、国政を動かす契機としたいものである。

(資料2)連合「政策・制度要求と提言」(2009年6月15日)

 医療保険各制度における患者一部負担は、被用者保険の被扶養者を含め2割負担に引き下げ統一する。3歳以下の乳幼児は無料とする。高齢者医療の対象年齢を70歳以上とし、患者負担は、心身の特性に対して定率1割とする。「現役並み所得者」の3割負担、70歳から74歳までの2割負担は廃止する。

(資料3)日本医師会「平成22年度予算 概算要求へ向けての要望書」(2009年6月26日)

 患者負担の軽減措置のための財源確保で次のように要望
対 象現行要望
75歳以上1割1割
70〜74歳2割1割
義務教育修了後〜69歳3割2割
義務教育就学中3割0割
義務教育就学前2割0割
※70〜74歳は、特例措置で1割に据え置かれている。
※70歳以上の現役並み所得者は3割を2割

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