より良い医療制度をめざす活動

【08.03.05】主張・後期高齢者医療制度

棄老を許すな、即時中止・撤回を

 読者はご記憶だろうか。かつて「卵を産まなくなった鶏は廃鶏にする、働けず、税金も納めない年寄りがさっさと死んでくれると政府は助かる」と放言した現職閣僚がいたことを。
当時、野党が機敏にこれを捉えて批判することはなかったし、寛容な大多数の国民も彼を厳しく糾弾することなく聞き流した。これが単なる放言にとどまらず、現実の政策になる日が来ようとは夢想だにせず……。
今にして思えば、野党も国民も事態を楽観し過ぎたといわざるを得ない。「後期高齢者医療制度」の提案に際し、厚労省社会保障審議会特別部会は、「後期高齢者の心身の特性」として、「生理的機能の低下による治療の長期化・複数疾患への罹患」、「多くの高齢者に認知症」「いずれ避けられない死を迎える」などと、臆面もなく述べている。
この四月に施行される「後期高齢者医療制度」は、年齢によって医療を差別するという、世界に類例を見ない「棄老」政策に貫かれている。
低所得で医療を必要とする機会の多い高齢者だけで医療保険をつくろうとする試みは、その発想の出発点から誤っている。にもかかわらず、厚労省は負担増の部分的・一時的「凍結」によって沸き立つ批判をそらしつつ、実施を強行しようとしている。
生活保護受給者を除く七十五歳以上の人は、例外なく「後期高齢者医療保険」加入を強制され、死ぬまで保険料を徴収される。政府はこの保険料を平均月六千二百円程度と試算していたが、愛知県の発表では七千七百六十七円となっている。しかも、医療給付がかさめばそれに連動して保険料を上げるしくみもすでに用意されている。
その上、当然発生が予想される保険料滞納に対するペナルティが設定され、滞納者は保険給付から事実上締め出される。名古屋市における介護保険料の滞納状況から推測すると、少なくとも市内で一千人前後が直ちにこのペナルティを蒙る可能性がある。
例のごとく、施行直前まで診療報酬の詳細は発表されていないが、包括制などのきびしい診療制限が盛られると予想される。
保険料徴収に関する周到な準備に比し、給付面での準備の立ち遅れが目立つことは、財政優先の立場からのみ企画されたことを雄弁に語っている。
この「後期高齢者医療制度」実施が強行されれば、低所得者ほど医療から遠ざけられ、「貧困と疾病の悪循環」をさらに増幅する結果になることは明らかであり、中止・撤回以外に打開の路はあり得ない。

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