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【08.01.15】「混合診療の解禁」をどう見る

「混合診療の解禁」をどう見る 板津副理事長に聞く

 「混合診療を禁止する法的な根拠がない」とした東京地裁判決や、規制改革会議の混合診療解禁の要望をどう見るかなど、マスコミでも混合診療問題を巡り、賛否両論の意見が報道され、国民的な関心事ともなっている。板津協会副理事長・政策部長に、改めて混合診療解禁の問題点について聞いた。

 東京地裁の「混合診療解禁禁止は違法」との判決について、どのようにお感じですか。
 まさかこのような判断が出されるとは思いませんでした。
がん患者さんが、藁にもすがる思いで、新しい治療法を受けたい、費用負担を少しでも軽くして欲しいという気持ちはよく分かります。
 しかし、残念ながら混合診療解禁では費用負担が軽くなる保障はないのです。

 それは何故でしょうか。
 保険外の費用徴収には、もともと上限設定も、標準料金もないので、保険外の料金設定の際、保険部分の自己負担が縮小されることを前提に保険外の料金を決めることになります。
 多くの医療機関が赤字経営や人手不足の中で、混合診療が解禁され、なんの規制もない自由診療との併用が常態化すれば、医療機関側は、好むと好まざるとにかかわらず、様々な名目で自由診療部分の費用を増やす努力を払うことになります。
 混合診療が解禁されたら、際限のない保険外負担の拡大が予想されます。

 がんの未承認薬では、世界標準となっている薬が日本では使えないということを耳にしますが。
 混合診療を解禁せよと主張する人たちがよく持ち出してくることですが、世界標準となっている有効で安全な医薬品であれば速やかに保険適用することが、解決策だと思います。
 それがなぜ混合診療解禁の話にすり替えられてしまうのか不思議ですね。

 何の目的で混合診療の解禁をしたいと考えているのでしょうか。
 保険給付範囲を縮小することで国の負担を減らすことと、患者の保険外負担を増やして民間保険の市場を広げ、医療を儲けの対象にすることを目的にしています。

 保険給付範囲の縮小は、具体的に何を。
 軽症医療、風邪薬・ビタミン剤など市販類似医薬品、先発医薬品の使用、MRIなどの高度な医療機器の利用、一定の基準を超えた看護配置などが対象にされています。

 混合診療を解禁して、民間保険の活用を図ろうとする根拠は。
 以前、財務省主計局がまとめた「医療制度改革の論点」に、「混合診療の拡大・民間保険等の活用」と明記し、「より広範な医療サービスについて医療機関の費用徴収の自由度を拡大、患者から自由に費用徴収できるようにする、これにより民間保険の活用も活性化」と述べています。

 民間保険と言えば、米国の医療を連想しますが。
 医療費の負担を民間保険に頼る方法は、マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」にリアルに紹介されていますが、企業利益が優先し、必要な医療が切り捨てられてしまいます。
 米国政府が、日本に「混合診療の解禁」と「株式会社による医療機関経営の解禁」を強く求めている点も見逃せません。
 日本を米国型の医療にしようとする方向に未来はありません。
 今、国民皆保険制度を守ることが何よりも大切だと思います。

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