より良い医療制度をめざす活動

【07.12.15】(3)健診・検診事業

 シリーズ第三回は「健診・検診事業」について、基本健診・各種がん検診・歯周疾患検診について報告と解説をする。

健診・検診事業

要請項目
○特定健診、がん検診、歯周疾患検診については、自己負担金を無料としてください。また、実施期間は通年とし、個別医療機関委託も実施してください。
○歯周疾患検診および七十五歳以上の健診については、少なくとも現行水準を後退させることなく、年一回受けられるようにしてください。
○子宮がん・乳がん検診を二年に一回としている市町村は、年一回にしてください。
○前立腺がん検診を年一回受けられるようにしてください。

 基本健康診査(基本健診)は、老人保健法で定められた健康診断で、四十歳以上の住民が基本的な検査を年一回受けられる制度である。これは、血圧測定、尿検査、血液検査などのから病気の早期発見・早期治療に役立つ、大変意義のある制度である。
しかし二〇〇八年四月から、この健診制度は「特定健診」へと大幅に方向転換される。「特定健診」は病気の早期発見には主眼を置いておらず、医療機関に受診したときはすでに手遅れという状況が生まれかねない。
 今回のキャラバンでは、アンケートで今年度の実態を調査し、特定健診への移行後も住民福祉の後退に繋がらないよう要請した。

自己負担無料――少数だが実施

 基本健診・各種がん検診・歯周疾患検診の自己負担が無料(個別医療機関委託・集団健診)だった市町村数は〈別表〉の通りである。

実施期間――半年未満が半数以上

 個別医療機関委託方式で通年(連続して六カ月以上受診できる自治体を含む)で実施している市町村は、少数にとどまったままだ。
 このような中で、「個別医療機関」で「自己負担無料」で「六カ月以上」受診できるのは以下の市町村だ。他の市町村も、住民の健康維持のために実施することが望まれる。
基本健診:一宮市、春日井市、豊田市、小牧市、三好町
胃がん検診:田原市
大腸がん検診:一宮市
肺がん検診:一宮市、東海市
子宮がん検診:一宮市、田原市
乳がん検診:田原市(超音波、マンモグラフィーとも無料)
歯周疾患検診:豊橋市、一宮市、春日井市、碧南市、豊田市、蒲郡市、犬山市、知立市、田原市、清須市、弥富市、大口町、幸田町、豊根村、音羽町、小坂井町

子宮がん検診、乳がん検診――毎年可能が過半数

 子宮がん検診も乳がん検診も、がんの早期発見、早期治療のために毎年受診することが望ましい。
 しかし、「がん予防重点教育及びがん検診実施のための指針」の改定により、年齢拡大と引き替えに受診間隔が二年に一回とされた。
昨年に引き続き実態を調査したところ、子宮がん検診を毎年受診できる自治体は昨年に引き続き四十市町村(六四%)、乳がん検診を毎年受診できる自治体は昨年から減少し、三十七市町村(五九%)だった。
 二年に一度の間隔ではあるが「四十歳から五十歳代は毎年受診」と、一律に二年に一度とせず、柔軟な対応をしている自治体もある。
協会が昨年六月に出した乳がん検診・子宮がん検診に関する要望の中では、子宮がん検診は「一年間隔が望まし」く、乳がん検診においても「三十歳から毎年四十年間マンモグラフィーによる検診を受けても、被曝リスクは無視できるぐらい小さく受診する利益の方が大きい」との調査結果を出しており、厚労省がガイドラインで定める二年に一度の受診間隔では、不十分だと言える。

前立腺がん検診―未実施は2市町

 前立腺がん検診は昨年調査時には六市町が未実施だったが、その後、西尾市、常滑市、南知多町、美浜町が実施した。これで未実施なのは名古屋市と東栄町のみとなった。名古屋市は県社保協との懇談の場で「厚労省のガイドラインに従い、実施しない」との冷たい対応をしている。
 前立腺がん検診は、血液検査の一つであるPSA検査で実施することができる。この検査は約一ミリリットルの血液で検査することができ、現在行っている血液検査に追加項目とするだけである。
前立腺がんの早期発見だけでなく、その他の前立腺に関わる疾患の早期発見が可能な検査であることから、住民の健康を守る立場での実施が求められる。

歯周疾患検診――3割以上が国基準年齢

 歯周疾患検診は老人保健法で定められており、「四十・五十・六十・七十歳の節目年齢」が対象となっている。これは十年に一度しか公的な検診を受けられないという実態であり、歯周疾患(歯周病など)予防や、介護予防のためにも、せめて年一回は無料で受診できる制度に改善すべきである。
 キャラバン要請行動や協会歯科部会の粘り強い要請により、国基準である「四十・五十・六十・七十歳の節目年齢」を下回る自治体はゼロになった。
対象年齢を国基準以上に拡大しているのは四十市町村(六三%)であり、国基準の狭い範囲にとどまっている自治体が三割を超える。歯周疾患を予防することが全身疾患を予防することに繋がるとの調査結果も出ており、十年ごとの節目年齢での受診では不十分であり、大きく拡大することが求められる。
 毎年受診できる自治体は昨年に引き続き二十四市町村(三八%)である。中でも「十五歳以上」(大府市、大治町)や「十六歳以上」(一色町、吉良町)、「二十歳以上」(瀬戸市、小牧市、愛西市、弥富市、幡豆町)など、対象年齢を拡大している自治体もある。
 二〇〇八年度から、歯周疾患検診の根拠法が健康増進法になるが、実施は努力規定となっている。三十歳以上成人の八割が罹っている歯周病を予防するためにも、年一回の歯周疾患検診を実施することが必要である。

※基本健診実施状況一覧(PDFファイル)

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