より良い医療制度をめざす活動

【07.11.15】「混合診療禁止は違法」判決に協会が「声明」

「混合診療禁止は違法」判決に協会が「声明」

 今月七日、東京地方裁判所が混合診療の禁止は「違法」だとする判決を下したことに対して、協会は十五日に開いた定例理事会で「声明」をまとめ政府や各政党に送付するとともにマスコミにもアピールした。(『声明』全文は9面)
 裁判は、腎臓がんの患者である原告がインターフェロンなどの保険診療を受けながら、保険外診療である活性化自己リンパ球療法を併用した診療を受ける場合に医療費全体が保険対象外になるのは違法であるとして争われているもの。
 声明では、患者の「気持ちは痛いほどよく分かる」が、「だからこそ安全性が確認されている医療は一刻も早く承認され、かつ速やかに保険適用をするのが筋」と述べ、混合診療を拡大すれば保険範囲の縮小に利用される懸念を表明。混合診療の解禁を主張している「規制改革・民間会議」(現在は「規制改革会議」に改称)の狙いは保険診療を縮小して民間保険への誘導など医療を儲けの対象にすることにあることを指摘している。
 この指摘を裏付けるかのように規制改革会議は、十五日この判決を受けて「混合診療全面解禁」に向け、厚労省が控訴を断念するよう迫る会見を行った。
 これに対し厚労省は、十六日東京高裁に控訴した。


2007年11月15日
「混合診療の禁止は違法」という判決は
「保険で良い医療」に逆行する(声明)


 保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」を行うと患者の医療費全体が保険対象外となる制度は違法であるとして争われた訴訟で、11月7日、東京地方裁判所は、「混合診療を禁止する法的な根拠がない」として保険適用部分は給付を受けることができるとの判断を示した。
 腎臓がんの患者である原告が保険診療(インターフェロンの投与等)を受けながら、保険外診療である活性化自己リンパ球療法を併用した診療を受ける場合に保険診療分については保険給付が受けられるよう求めたものである。
 がんを患った患者や家族が藁にもすがる思いで新しい治療法を受けたいという気持ちは痛いほどよく分かる。その時に、できるだけ治療費用を軽くしたいと考えるのも当然のことだ。だからこそ、安全性が確認されている医療は一刻も早く承認され、かつ速やかに保険適用をするのが筋である。「保険診療」と「安全性の確認されていない保険外診療」が自在に混在することになると診療の場で危険な医療行為がとめどなく拡大する危険がある。
 私たちは、安全性が確立された医療の保険への適用が遅れたり、保険外医療のまま固定化される懸念も生まれ、結果的に国民の「保険で良い医療」の願いに逆行し、保険診療を限りなく縮小する道につながる危険を強く指摘するものである。
 そもそも混合診療の解禁は、財界や米国サイドからの要望を受けた「規制改革・民間開放推進会議」が主張してきたことである。その意図は、保険外の患者負担を拡大して民間保険への誘導をはかるなど医療を儲けの対象として見る立場からなされてきた経過を見過ごしてはならない。
 私たちは、現在の「保険外併用療養」についても、先進医療など評価療養の部分については、これらの技術を速やかに保険診療とするルールを確立することを求めている。また、選定療養の部分については、風邪などの「軽度医療」や市販類似医薬品、MRIなどの高度医療機器、一定基準を超えた看護体制などの保険給付外しの危険を指摘しつつ拡大反対を要望してきた。
 保険診療が充実して初めて、お金のある、なしで医療内容の格差を生む事態を避けられる。私たちは、混合診療の解禁の方向に引き続き反対し、現在、保険適用外になっている治療について安全性を確認し、一刻も早く保険適用をするよう求めるものである。
 国は、今回の判決に対して「極めて厳しい判決である」とし、控訴する方針だと伝えられる。保険で安心して安全な良い医療を受けられるよう国が積極的に保険診療を拡充するよう、私たちは改めて強く求めるものである。

愛知県保険医協会11月定例理事会

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