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【07.02.15】レセプトオンライン請求義務化問題を考える シリーズ4

レセプトオンライン請求義務化問題を考える シリーズ4

セキュリティも機器購入も自前持ち

オンライン請求の義務化に反対する要請書に寄せられた一言意見には、個人情報の漏出などセキュリティの問題が心配、設備や維持にかかる費用について補償をして欲しいという意見が多くみられる。シリーズ4回目は、この問題を考えてみたい。

送信機器の設置は施錠できる専用の部屋が「望ましい」とのガイドライン

 保団連は、昨年12月27日厚労省に義務化反対の要請を行い、併せて質問事項を出した。それに対する一部が1月19日付で回答された。セキュリティ、費用保障にかかる部分は、「別掲」のとおりだ。
 セキュリティについては、オンライン請求という方式をとる以上、今の技術レベルでは「絶対安心」はありえない。しかし一方で、医療機関には厚労省が示している「ガイドライン」にそった対応が求められ、それが出来なければ責任を問われる。
 「ガイドライン」でいう物理セキュリティは、別掲の回答にあるとおりだが、ここでいう「入退室管理」とは、「細則」により、1.関係者の不在時等の施錠管理、2.部屋内での身分証明書の常時着用、3.関係者以外の入室に対する注意、と示されている。
 しかし厚労省の回答にあるような送信機器を設置する特別な部屋を設けようとしてもそのためのスペースがない場合にはどうするのか。「細則」では、パーティションや送信機器に覆いをする、なども可能のようになっているが、それでも場合によっては改築・改造が必要になり、莫大な費用がかかることもありうる。しかしその費用の補償は全くない。
 また、人的セキュリティでは、医療機関などの「機関の長」は、「その機関におけるオンライン請求業務に関する最終的な責任を有し、従事する人員が適正に業務を実施するよう監督すること」(ガイドライン)が求められ、「セキュリティポリシー」などの規定を策定、運用しなければならない、とされる。

費用補償は「電子化加算」のみ

 これらセキュリティ対策にかかる分を含め実際にオンライン請求を行うためにかかる費用がどれくらいかかるのであろうか。
 具体的には個々の医療機関によって違うので一概にはいえない。
 日本医師会が昨年8月に発表した「オンライン請求義務化に関する日医見解」の参考資料では、レセコンを購入する費用はおおよそ300万円、送信するための専用パソコンにかかる費用がソフト代20万円、ハード・回線代30万円として導入時の費用が全国で1,000億円だと試算している。ただしこれにはメンテナンス費用は含まれない。
 それに対し厚労省の回答によると、現時点で費用補償といえるものがあるとすれば、昨年の診療報酬改定で新設された初診料における電子化加算(3点)のみということになる。
 一方で、請求事務の「効率化」による経費節減効果は規模の大きい医療機関では大きいであろうが、規模が小さいほど効果は小さくなる。やはり何らかの補償が必要だといえよう。
(文責 事務局吉田)

保団連の質問と、厚労省の回答(要旨・抜粋)

◎データのセキュリティ、データの2次利用の問題について
(1)レセプトデータの民間利用の禁止について
(質問)
健保組合などの保険者が、本人の了解なしでレセプトのデータを健診データと突合などして保健指導に利用することは、個人情報保護法で禁止されている目的外利用になるのではないか? そうならないとしても厳しく規制することが行政の務めではないか?
(回答)昨年成立した「健康保険法等の一部を改正する法律」において、医療保険者の役職員に対する守秘義務規定を設けたところであり、違反した場合には罰則を科すこととしている。

(2)セキュリテイの確保について
(質問)
鍵のかかる部屋の設置義務などについて、例外的な措置は考えていないか?
(回答)昨年4月に策定した「レセプトのオンライン請求に係るセキュリティに関するガイドライン」おいて、物理的セキュリティの確保を図るため医療機関における送信機器の設置場所として、「ア 医療機関及び薬局の送信機器を設置する部屋は、施錠可能とすること。 イ 医療機関及び薬局の送信機器を設置する場所は、関係者の入退室を適切に管理すること。 ウ 医療機関及び薬局の送信機器は、オンライン請求業務を専用に行う物理的区画に設置されることが望ましい。」としているところである。具体的にどのような措置を講じるかは、個々の医療機関の状況にもよることとなるが、関係者以外の者による不正使用を防止するため、送信機器を設置する部屋の施錠のほか、設置場所をパーティション等で仕切るなどの方法も提示している。同ガイドラインの細則や「レセプトのオンライン請求システムに係る安全対策の規程例」を参考にされたい。

◎費用補償に開する事項
(質問)
オンライン化で医療機関か導入しなければならない機器とメンテナンスコストについて別途費用補償が必要ではないか。
(回答)レセプト請求の電算化・オンライン化の導入時には、一定の経費が必要となるが、電算化・オンライン化により、レセプト請求事務の効率化が図られるものと考えている。また、平成18年4月からの診療報酬改定において、医療機関のIT化の取り組みを評価する電子化(※編者注「電子化加算のこと」?)を新設したほか、医療機関ごとに異なる傷病名等のコードを電子レセプト用の統一コードに変換するための支援ソフトを開発し、現在、利用の促進を図っているところである。

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