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【07.01.25】レセプトオンライン請求義務化問題を考える シリーズ2

レセプトオンライン請求義務化問題を考える シリーズ2

医療コード「標準化」が前提に

 前回は、レセプトのオンライン請求義務化の内容とスケジュールについて紹介した。そして、支払基金などがさかんに推奨しているのにもかかわらず、レセプト電算処理システム参加医療機関が思うようには増えていない状況を紹介した。今回は、そうした状況を打開するとされる「レセスタ」について紹介しながら、そこから浮かぶ問題を考えてみたい。

電子レセプト化を後押しする「レセスタ」

 「レセスタ(Recesta)」は、厚生労働省が自ら開発したソフトウェアである。ただし今は医科のみであり、まだ電子請求そのものが行われていない歯科は対象外だ。
 医療機関が利用するためには厚労省宛に利用の申し込みを行い、ヘルプデスク経費(診療所は15万円、病院は病床規模と対応するレセコンによって金額が変わる)を支払う必要がある。この費用は原則として申し込み時の1回のみで毎年支払うものではない。申込書の送付先は「維持管理業者」である「(株)NTTデータ」となっている。
 では、このソフトはどんな仕事をするのかというと、1、レセコンからレセプト出力情報を取り出すこと(抽出ツール)と、2.抽出したデータをレセプト電算処理システム仕様(電子レセプト)に変換する(変換ツール)ことの2つである。1の作業はレセコン上で行うが、2は市販のパソコン(ウインドウズXPなど)を使って行う。1の作業を出来るレセコンは今のところ大手7社による新しい機種に限られる。
 電子レセプト化するうえで最大の課題となるのは、コードを統一(標準化)することであり、レセスタが行う仕事は、個々のレセコン毎、あるいは個々の医療機関独自毎に様式化されたコードを、厚労省が定めた統一コードに変換する作業を簡単に短時間に行うことにある。
 医科の場合、「医療用語・コードの標準化」は、すでにかなりすすんでいる。厚労省保険局が運用しているホームページ「診療報酬情報提供サービス」(アドレスはhttp://202.214.127.149/)では、1.傷病名、2.診療行為、3.医薬品という3つのマスターを公開しており、利用しようとすればいつでも利用できる。このうち傷病名マスターでは、病名を約2万に分類、コード化(例えば「高血圧症」は「8833421」という傷病名コード」している。繰り返しになるが、レセスタの行う仕事は各レセコンあるいは病院独自でデータ化されている傷病名をこの「統一コード」に変換することである。

画一的な医療の強制につながる危険

 オンライン請求は、「医療用語・コードの標準化」を前提としているため、これが抱える問題は同時にオンライン請求の抱える問題ということになる。
 傷病名などの「標準化」は「医療の標準化」につながる。
 医師は個々の患者に対してその状態を診察、診断し、必要な治療を行う。そういう医療の個別性が「標準化」によって損なわれ、画一的な医療しか認められなくなるのではないか。その危険はぬぐいきれない。
 「標準化」の方針は、2001年12月に厚労省が発表した「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」にまでさかのぼる。そこでは、「医療情報のIT化の促進」が重要課題の一つとして位置づけられ、その具体的方策として「医療用語・コードの標準化」が明示された。
 そして、傷病名のレセプト記載やカルテの記載について2002年3月から4月にかけて、電子レセプトや電子カルテを使用する場合には標準化された傷病名を使用することを求める通知が厚労省から出されている。
 昨年6月には、大手企業の健保組合が参加する「保険者機能を推進する会」と日本経団連とが呼応するような形で、レセプト請求について、傷病名と薬剤などを含む診療行為のリンク付け、医科・歯科レセプトと調剤レセプトとのリンク付けなどの要望を政府に提出している。
 これらのリンク付けは電子レセプトが最も得意とすることだ。果たして、これが審査の形骸化、機械的審査の横行につながることはないのか、検討を要する課題である。
(文責 事務局吉田)

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