より良い医療制度をめざす活動

【06.04.25】会員の声特集インタビュー 無理のある医療区分別体系 療養病床削減の地ならし

診療報酬 会員の声特集
無理のある医療区分別体系 療養病床削減の地ならし
早川純午氏にインタビュー


 4月からの診療報酬改定で協会にはマイナス改定への怒りの声が相次ぎ寄せられている。療養病床入院基本料やリハビリが大幅組み替えされる問題について、早川純午氏(名南ふれあい病院副院長、協会社保学術部専任講師)に聞いた。

――療養病棟入院基本料は、7月から入院患者の医療必要度とADLの状態に応じた点数体系に再編されます。とくに、入院患者の半数以上といわれる医療区分1については「医療の必要性の低い患者」とされ、従来点数の6割程度しか評価されなくなりました。

 「医療の必要性が低い」というのは、厚労省が勝手に決めてしまうもので、低い区分となった人に医療が必要ないということではありません。
 例えば、経管栄養の場合、「発熱又は嘔吐を伴う場合」は医療区分2、発熱や嘔吐がなければ医療区分1に分類されますが、経管栄養である以上、嘔吐のリスクは常にあるわけです。また厚労省は、経管栄養の患者で発熱した状態の場合、7日目までは医療区分2だが、8日目以降は医療区分1とすると示しています(4月13日付会議資料)。このような区分分けは医学的な根拠がなく、どう見ても患者を追い出すためのもので無理があると思います。
開業医の先生と話していても、患者と話し合って中心静脈カテーテルは入れずに自然に療養したい、自分が望むような死を考えていきたいというときに、医療区分で点数評価を分けてしまうのは、患者の選択や医療の提供に足かせをはめてしまうと思います。

――医療制度改革法案で2012年4月までに医療療養病床は現在の25万床から15万床に削減し、介護療養病床は現在の13万床を全廃する方針です。

 厚労省は38万床の療養病床は削減ではなく転換だと説明していますが、他の病院からの患者受け入れの問い合わせのうち、大半の患者は「医療区分1」となってしまうと聞いています。こうなると医療療養病床では医療区分の重い人しか診なくなり、本来療養病床が担ってきた役割を果たせなくなることが予想されます。MRSAを保菌していると書いただけで、老健施設は受け入れてくれない実態がある中で、医療区分1の患者さんは在宅しか行き場がないという状況がすでに生まれつつあると思います。
 全日本民医連が、療養病床の廃止・削減の撤回を求める要望書への賛同を全国の療養病床を持つ病院に呼びかけたところ、「遠隔地で混合病棟としてコンパクトに救急、療養に対処してきましたが、(今回の改革で)来年で廃止です。地域唯一の病院を無くしてしまう結果になりかねません」(三重県の公的病院)、「療養病床をつくれと誘導しながら数年で廃止とは、政策として余りにも乱暴」(福井県の病院)などのメッセージが多数寄せられています。
 今回の改定で、入院基本料がマイナス改定となり、看護師の夜勤は週72時間以内という要件が加わったため、一般病床と療養病床とを有し、ベッド数の少ない中小病院には厳しい改定になっています。療養病床の削除は、病床が減れば看護師が足りるということにもつながっていると感じています。

――リハビリ点数は、疾患別に再編成されました。

 本来、リハビリというのは、障害に対するアプローチであって、今回のような疾患別分類で、かつ点数格差を設けたということは、同じ労働に疾患別で格差を設けるという不合理なものです。不合理な分類の典型例としては、廃用症候群がありますが、脳血管疾患等の分類としたのは何の合理性もなく、苦肉の策としかいいようがありません。

――リハビリは算定日数の上限も設けられました。

 今まで慢性期病床でもリハビリを行って在宅に戻るケースもありましたが、慢性期の患者のリハビリが日数で打ち切りになるのは、在宅で療養できる体制が不十分なもとでは重大問題です。

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