より良い医療制度をめざす活動

【05.12.15】高齢者直撃、国の責任を自治体と医療機関に押しつけ 与党協が医療改革大綱を決定

高齢者直撃、国の責任を自治体と医療機関に押しつけ
与党協が医療改革大綱を決定


 12月1日、政府・与党医療改革協議会は「医療制度改革大綱」をまとめた。基本的内容は、10月19日に発表された厚労省試案の本体部分をベースにしたものである。
 この大綱に盛り込んだ「医療改革」の方向は、高齢者を直撃し、国の責任を自治体と医療機関に押しつけ、国民皆保険制度を空洞化させるものである。
 協会では、来年の通常国会に上程予定の医療大改悪法案の成立を許さないために、これまですすめてきた会員連名要請書に加えて、大量宣伝と患者署名で国民的な運動へと発展させるために力を尽くす計画でいる。

64〜69歳は三割据え置き、保険免責制は見送り


 今回の大綱では、厚労省試案で、3割から2割に引き下げることになっていた65〜69歳の負担を、小泉首相の直接的指示により、3割のまま据え置くなど、厚労省試案よりも後退した部分も含まれている。
 一方、小児の2割負担を「3歳未満」から「就学前」まで拡大、高額療養費の定率部分1%の据え置き・入院の現物給付化など厚労省試案より改善した部分もある。
 また、厚労省試案で参考として紹介され、その後、11月21日の財政審建議でも打ち出された「保険免責制」や一般病床での食費・居住費の自己負担化などの施策は見送りさせた。
 この間の保団連・協会や日医・日歯など医療界あげての運動が、国民世論を高め、改悪計画を一部分とはいえ後退させたものと言えよう。
 同時に、経済財政諮問会議や財務省は今回の決着で満足しているわけでなく、5年ごとの医療給付費の目標額を設定し、一定期間後の検証により、目標に達しない場合は、保険免責制をはじめ新たな施策の追加実施を求める構えであり、今後の運動がますます重要になっている。

負担増と給付削減で高齢者を直撃


 大綱に盛り込まれた「医療制度改革案」の主な内容は、下記に示したとおり、70〜74歳の2割負担、療養病棟の入院患者の食費・居住費の自己負担化、高額療養費・高額医療費の自己負担限度額の引き上げなど患者負担増と給付削減により高齢者を直撃する内容が中心をなしている。
 また、医療費適正化計画の策定と都道府県別診療報酬の特例設定などの医療費抑制策により、国の責任を自治体と医療機関に押しつけるものとなっている。
 来年の通常国会には、これらの改悪法案とともに、昨年末の「混合診療合意」にもとづく特定療養費制度の抜本改変の法案も提出されようとしている。
 これらの諸改悪を許すなら、誰もがいつでもどこでも安心して医療が受けられるという国民皆保険制度の原則が空洞化することになってしまう。

医療制度改革案(与党協・大綱より)


2006年4月
    • 診療報酬マイナス改定

2006年10月
    • 高所得高齢者(70歳以上)の窓口負担2割→3割
      ※高所得高齢者の対象者も拡大
      夫婦年収 約620万円以上→約520万円以上
      対象者  約6%(120万人)→約11%(200万人)
    • 療養病棟70歳以上入院患者 食費・居住費を全額自己負担
      【例】30日入院:24,000円→56,000円
    • 高額療養費(70歳未満)月額上限の引き上げ
      一般世帯72,300円+1%→80,100円+1%
      高所得世帯139,800円+1%→150,000円+1%
      ※低所得者の月額上限は据え置き
    • 高額医療費(70歳以上)月額上限の引き上げ
      世帯合算40,200円→44,400円
      ※外来個人別および低所得者の月額上限は据え置き

2008年度
    • 70〜74歳の窓口負担  1割 → 2割
    • 3歳〜就学前の窓口負担 3割 → 2割
    • 新たな高齢者医療制度の創設
    • 国と都道府県が医療費適正化計画を策定
      平均入院日数短縮・生活習慣病予防に政策目標設定、計画の達成状況を検証し、都道府県別の診療報酬特例を可能とする
    • 政管健保の公法人化・都道府県別保険料率の設定
 

2500人の会員署名提出

今後は会員署名を推進
 協会では、12月1日の保団連中央行動に、室生副理事長(保団連会長)、堀場名誉理事長、小塚評議員会議長ら8人が上京し、2,537人の会員の声を連名要請書にして、小泉首相、谷垣財務相、川崎厚労相、地元国会議員に提出した。
 当日、参議院会館で開かれた「国会内集会」には、牧義夫・岡本充功(以上民主)・佐々木憲昭(共産)各衆院議員の秘書が出席し、大塚耕平(民主)参院議員から賛同が寄せられた。
 今後は、患者・国民に向けて、大量宣伝と患者署名を大規模にすすめ、医療界と国民各層との連携を強め、国民的な世論と運動で、医療大改悪法案の成立を許さない運動を計画している。

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