より良い医療制度をめざす活動

【05.09.15】制限回数超の選定療養

制限回数超の選定療養
医療上の必要があれば保険適用こそ筋


「医療上の必要性」めぐり議論
 この問題については、中医協に置かれている医療技術評価分科会で検討され6月15日の同分科会で28項目が選別、6月29日の中医協基本問題小委員会で議論されたが、継続審議となっていた。
 8月31日、中医協総会に先立つ同基本問題小委員会での議論では、先回までに議論されてきた28項目から7項目にしぼって特定療養費の選定療養とすることとなった。議論にあたって「資料(1)」が提出され、議論された。
 日医の松原委員は「医療上の必要性がほとんどないものがあるのも事実。今回はそのうち、患者さんの不安を減らすもの(腫瘍マーカー)、患者さんが早く治りたいことを助けるもの(リハビリ)、患者さんの家族の負担を軽減するもの(精神科療法)を保険併用とすることを認めたい」と述べた、という。
 それに対して支払い側からは「医療上の必要性がほとんどない」との表現が適切でないとの意見が複数出され、土田委員長が、「事務局と検討したいので一任いただきたい」とまとめ、総会に提案された。
ここで、「ほとんど」という言葉を除いたらどうなるか? 医学的に根拠のない医療行為を患者負担させることになり、それこそ「ほとんどペテン」になってしまう。逆に医学的に根拠があるのならば、保険適用するのが筋であろう。

保険財政の縮小が狙い
 認めるにあたっては、資料1にあるとおり、それぞれ一応条件が付けられている。
  ◇腫瘍マーカー……患者の不安を軽減する必要がある場合
  ◇リハビリ……患者の治療に対する意欲を高める必要がある場合
  ◇精神科専門療法……患者家族の負担を軽減する必要がある場合
 しかし問題は、そもそも保険診療において算定制限が設けられていること自体にある。各項目の制限の具体的な内容は資料2にあるとおり。
 リハビリの制限は2002年、精神科専門療法に至っては先回2004年の診療報酬改定の際に導入された制限であり、もっぱら保険財政を縮小させることが目的であると、導入時に保団連・協会は強く批判してきた。
 また、この問題を議論してきた中医協の医療技術評価分科会の報告でも、保険給付との併用を認めるべきだという意見と併せて、「医療上の必要性の観点から制限回数を超える部分に関しても保険適用とすべき」という意見が併記されている。

公的医療の縮小への危険な道を許さない
 今回は7項目だが、今後中医協では、これまで議論で取り上げられてきた残り135項目について引き続き検証を行うとされている。この内容は、すでに保険医新聞6月25日号などで紹介しているとおり、在宅患者訪問診療料などの在宅点数や、検査、処置、手術、麻酔、特定保険医療材料などにまたがるものだ。
 このようにいったん今回の手法を認めてしまうと今後、際限ない対象範囲の拡大を招き、究極的には、「すべての保険点数に標準回数を設定し、回数を超えるサービスは特定療養費の対象とする」(04年7月・西山前医療課長の講演)といった危険な道に踏み出すことになりかねない。

(資料1)別に厚生労働大臣が定める制限回数が設けられている医療行為について


1 考え方  医療上の必要性がほとんどないことを前提として、患者の要望に従い、患者の自由な選択の下に制限回数を超えて医療行為が行われることが想定されるものについては、当該制限回数を超える医療行為について、保険給付との併用を認めることとする。
2 上記考え方に従い、診療報酬調査専門組織の医療技術評価分科会の報告について更なる検討を行った結果、以下について、「別に厚生労働大臣が定める制限回数が設けられている医療行為」とする。
(1)検査(腫瘍マーカー)
 腫瘍マーカーのうち、AFP(α−フェトプロテイン、α−フェトプロテイン精密測定)、CEA(癌胎児性抗原精密測定)については、患者の不安を軽減する必要がある場合には、保険給付との併用を認めることとする。
(2)リハビリテーション
 リハビリテーションのうち、理学療法(個別療法)、作業療法(個別療法)及び言語聴覚療法(個別療法)については、患者の治療に対する意欲を高める必要がある場合には、保険給付との併用を認めることとする。
(3)精神科専門療法
 精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア及び精神科デイ・ナイト・ケアについては、患者家族の負担を軽減する必要がある場合には、保険給付との併用を認めることとする。

(資料2)7項目の保険診療における算定制限

検査
診療行為算定回数制限
腫瘍マーカー
(AFP、CEA)
悪性腫瘍の診断の確定または転帰の決定までの間に1回を限度として算定する。悪性腫瘍の診断が確定し、計画的な治療管理を開始した場合、当該治療管理中に行った腫瘍マーカーの検査の費用は原則として「悪性腫瘍特異物質治療管理料」に含まれる。

リハビリテーション
診療行為算定回数制限
理学療法(個別療法)患者1人につき1日3単位に限り算定する。
作業療法(個別療法)
言語聴覚療法(個別療法)

精神科専門療法
診療行為算定回数制限
精神科デイ・ケア当該療法を最初に算定した日から起算して3年を越える期間に行われる場合にあっては、週5日を限度として算定する。
精神科ナイト・ケア
精神科デイ・ナイト・ケア

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