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【04.12.05】署名項目解説(6) 介護保険5年目の制度見直しの問題点

署名項目解説コーナー

介護保険5年目の制度見直しの問題点


 協会が現在取り組んでいる会員・患者署名の項目について、ここでは「介護保険制度改善」について解説を行います。

 介護保険制度は2006年4月実施の制度見直しに向けての検討がすすめられている。社会保障審議会の介護保険部会では12月中に「介護保険制度改革案」を取りまとめて、来年の通常国会に法案を提出する予定である。制度見直しの概要と併せて問題点を紹介する。

国民負担増の大改悪


 介護保険制度の見直しの議論では障害者支援費制度との統合や20歳以上からの保険料徴収など被保険者の範囲拡大の問題や、軽度の被保険者への給付の制限、施設入所者のホテルコスト(食事や居住費)の負担増など問題点が多く、制度維持のための財政的な問題はほとんど合意は得られていない。
 社会保障の国庫負担は増やさないという政府の「骨太方針」により、給付抑制と保険料や利用料の引き上げなど、今後予想される介護給付費の増大化を国民負担増と給付抑制だけで乗り切ろうとする大改悪の提案になっている。

保険料・利用料軽減の要望


 介護保険制度はそもそも国や自治体の措置制度を保険制度に一本化した制度であるため、保険料・利用料の負担増が最大の問題点である。介護保険施行当初は厚労省の締め付けもあって、保険料や利用料の軽減措置をとる自治体は少なかったが、住民団体などの働きかけにより保険料で695、利用料では908(2003年4月)の自治体が何らかの軽減制度を設けるに至っている。全国的に広がっている事実からみても、国としての軽減措置が当然必要なことは言うまでもない。
 利用料については利用料負担が重いために必要なサービスを受けることを控える利用者が多く、在宅サービスでは支給限度額に対する利用率は4割程度でしかない。(表参照)
 安心して必要なサービスを必要なだけ受けられる制度にするためには、この保険料・利用料負担を軽減することは最大の課題であるはずだ。  

保険料の引き上げ


 保険料の見直しについては第1号保険料の見通しについて、現行制度のまま推移した場合と給付の効率化・重点化を図った場合の「ごく粗い試算」が示されている。現行のままでは10年後には保険料は全国平均で6,000円に引き上がるが、給付の効率化などで4,900円に抑えられるとしている。同様に給付費の総額についても10年後には10.6兆円となるところを8.7兆円に抑えることができるなどとし、給付の抑制・重点化を図ることにより制度維持を図るという提案になっている。
 しかし、現行の国庫負担率25%を大幅に引き上げるという抜本改革なしには、今後の高齢化社会に対応できる安定的な制度運営は到底ありえない。協会・保団連としてはこの国庫負担の大幅引き上げを要望している。

被保険者の範囲の拡大


 今回の制度見直しの議論で一番の争点となっていた「被保険者・受給者の範囲の拡大」については「新たな負担増」への反発が強く、合意は得られていない。若年者への保険料負担拡大は現在の経済情勢を考えれば個人・企業ともに到底受け入れられるものではないが、現行の40歳以上を35歳、30歳へと段階的に引き下げる案を示すなど、どうしても年齢引き下げはすすめる方向だ。
 障害者施策の支援費制度との統合は同制度が始まってまだ1年あまりであり、国の責任で行ってきた障害者福祉を保険制度に組み替えてしまうにはあまりに時期尚早との意見が多い上に、システム的な問題も多いため実質先送りになった。

ホテルコストの自己負担


 施設については介護保険3施設共通で「ホテルコスト」の名目で「居住費用」と「食費」は原則保険給付からはずして利用者負担にすることが提案されている。同様に通所サービスの食事提供加算も廃止の方向である。
 利用者負担とした場合の具体的な金額が11月10日の全国課長会議で提示されているが、特別養護老人ホームで要介護5・保険料第4段階以上の場合、相部屋でも8.7万円、個室では13.4万円の負担となり、月額で3万円〜8万円もの値上げになっている。食事や居住費部分は当然保険給付の対象とすべきであり、個人のプライバシーが保てる個室でのサービスは最低限の保障といえよう。
 これからの社会保障には、生活の質を高めたいという意識の高まりに見合うような保障内容こそが期待されている。

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