愛知県保険医協会の平和を求める取り組み

【15.07.05】NPT再検討会議・ニューヨーク国際行動報告(4)

大きな成果を上げることを求めてニューヨークへ
副理事長 中川 武夫

私は、4月27日の夕方開催された、日本原水協代表団会議・国際シンポジウムについて報告する。会議は、セントラルパーク沿いのNew York Society for Ethical Cultureで16時から開かれた。国連見学から急いで駆け付けたが、開催時間ぎりぎりに会場へ到着することができた。メインテーマは「ともに核兵器のない世界へ―新たな地平を開こう」で、会場には日本全国からの参加者1058人が勢揃いした。
安井正和氏(日本原水協事務局長)が「代表団の任務の第一に掲げた署名提出を、前日に全員の力で成功させた。被爆70年を核兵器廃絶の転換点とするために、私たちの運動の役割は極めて大きい」と開会あいさつ。また第9回NPT再検討会議を傍聴した者から、会議冒頭に潘基文国連事務総長の「フェルーキ会議議長が会議成功のための様々な署名を受け取り、これらの署名は、我々に市民社会が力強い希望と期待を持っていることを教えている」というメッセージが読み上げられたと報告があったと紹介した。
シンポジウムは、高草木博氏(日本原水協代表理事)をコーディネーターに、ホルヘ・ロモナコ氏(メキシコ軍縮大使)、セルジオ・ドゥアルテ氏(元軍縮問題担当国連上級代表)、ジョセフ・ガーソン氏(アメリカフレンズ奉仕委員会)、ジェニー・クレグ氏(イギリス核軍縮運動)の4人がパネリストを務めた。パネリストからは、下記のような発言があった。
セルジオ・ドゥアルテ氏:政府、国際組織、市民社会、個人が決意し共同して目標実現のために努力すれば、核兵器のない世界の展望を開くことができる。「共同して」がカギ。わずかな国が人類全体を破滅させることに市民として声を挙げて抵抗しよう。核兵器廃絶は、核兵器を使わせない唯一の現実的保証である。
ホルヘ・ロモナコ氏:今ほど核兵器廃絶の機運が高まっているときはない。ヒロシマ・ナガサキ・国連創設70年の年に人の心が呼び覚まされおり、人道的観点の討論の高まりもうねりを作っている。核兵器廃絶のプロセスを開始し、廃絶への一歩を歩みたい。
ジョセフ・ガーソン氏:日本から600万以上の署名をスーツケースに詰め、1000人以上が来て、数千人のニューヨークデモに参加したことに心を打たれた。安倍ストップ、傲慢なオバマ政権もストップさせよう。人間の運動を構築しよう。
ジェニー・クレグ氏:総選挙の最中のイギリスでは、1500億ドルもの巨額のトライデント核潜水艦システム更新計画が争点に浮上している。「トライデントではなくNHSを」キャンペーンが展開され、イギリス人のアイデンティティーが試されている。選挙結果によっては、イギリスが最初の核兵器所有をやめる国になるかもしれない。
質疑の後、ジェニー・クレグ氏からは「Never give up. 英国では人々が生活に関わりがあると理解したから政治に関心を持っている。行動、デモンストレーションも大切だ。行動し続けることが核兵器を廃絶する力となります」と、セルジオ・ドゥアルテ氏からは「みなさんから元気をもらった。核兵器に反対する政治家に投票をすることが必要だ。これまでの運動を継続してください」とのメッセージがあった。
このシンポジウムを通して、改めて「核兵器廃絶を求める署名」の力を確認できたこと、また、世界各地で様々な運動が取り組まれていることを確認できたことが何よりの成果であった。



NPTの会議は5月22日まで続けられたが、残念ながら最終文書は前々回に続いて採択されなかった。報道では、広島・長崎への訪問を呼びかける文言に中国がクレームをつけたと伝えたが、最終的には「中東の非核化の話し合いを2016年3月までに開始する」という文言に、米、英、カナダが反対し、全会一致にならなかった。しかし、この「中東非核化」は前回のNPT会議の最終文章にすでに合意されていた内容であり、今回の拒否は決して許されるものではない。
この結果について、「核廃絶の動きが後退した」との評価も見られるが、私にはそのようには思えない。
前回のNPT再検討会議から5年、核廃絶に向けた運動は、「核兵器の人道上の影響」をキーワードに、大きく前進し、「共同声明」には日本を含め、160カ国が署名している。
極めて残念な結果ではあるが、「核廃絶」への流れに反対する国はやがて追いつめられることになると確信する。

  シンポジストの(右から)ジェニー・クレグ、ジョセフ・ガーソン、ホルヘ・ロモナコ、セルジオ・ドゥアルテ各氏とコーディネーターの高草木博氏

  国連本部で開催された原爆パネル展では「The Shadow of Peaceful Use of Nuclear Energy(原子力の平和利用の影)」と題したパネル展示もされ、福島原発事故や核廃棄物最終処分場について触れられていた

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