愛知県保険医協会の平和を求める取り組み

【15.06.05】NPT再検討会議・ニューヨーク国際行動報告(2)

署名行動と国際行動デー[ニューヨーク行動]
勤務医の会委員 坂本 龍雄


レポートの見出しに「行動」が3つ並んでいる。本来なら別の表現を工夫すべきであるが、愛知県代表団(第2班)としてニューヨークで過ごした数日間は、この見出し通り「行動」満載の毎日であった。

タイムズスクエアでの署名行動

ニューヨーク滞在2日目、NPT再検討会議開催の前日であるが、タイムズスクエアでの「核兵器全面禁止を求めるアピール署名」(Appeal for a total ban on nuclear weapons - We call on all governments to enter negotiations without delay on a convention banning nuclear weapons)の行動からスタートした。
タイムズスクエアはニューヨークを代表する繁華街であり、日中でも企業広告の巨大ディスプレイやネオンサインにあふれ、勤め人だけでなく観光客の往来も多かった。
署名行動は名古屋の街頭であっても怯んでしまうものだが、同じ第2班の若者2人(南生協病院の研修医である福元さんと看護師の山下さん)に負けじと、私も思いきって通行人に署名用紙を突きつけてみた。ペアを組んだ山下さんの呼びかけ「Excuuuse me(微笑)」の魅力に負うところが大きいと思われるが、30分余で10数筆の署名を集めることができた。呼びかけに応じてくれた通行人の多くは、署名用紙の要請文にしっかりと目を通し、そのうえで署名するか「NO」と言って立ち去った。
言葉の壁がなければ、署名に引き続き平和問題について話し合えそうな誠実さと真剣味が伝わってきた。「No to Nuclear Weapons!」などのプラカードが少々目立つとはいえ、交差点の角々で通行人に声をかけているのはToy Storyの登場人物に仮装した一団、市内観光バスのチケットを売りつけようと必死な黒人青年たち、そして我々だけである。
繁華街の小さな集団の平和の呼びかけに足を止めて訴えを聞いてくれた勇気あるニューヨーカーや観光客に心から感謝しつつ、板津先生からいただいた折り鶴をお渡しした。もちろん、期待以上の「Thanks」「Gracias」「Merci」と満面の笑みが返ってきた。
「日本での署名活動よりもやりやすいと感じた」との感想を他でも聞いたが、民主主義のマナー(自分の頭で考える、少数意見を尊重するなど)が日本よりも普及しているのだと思う。
余談であるが、ワールド・トレード・センター跡地に造設された、水が流れ落ちる巨大プールのモニュメントの縁に刻まれた犠牲者の名前に、数十の折り鶴がひとつひとつ丁寧に差し込まれていた。「No more Hiroshima!」「No more Nagasaki!」の祈りとともに折り鶴を想起する日本人は多い。ニューヨークでも折り鶴は鎮魂と平和祈念のシンボルになっていた。
その後、第2班のメンバーは地下鉄に乗り、国際行動デーのパレードの出発点となるユニオンスクエアに向かった。快晴だった。小川班員の目にかなったカフェでジャズの生演奏を聴きながら、大皿に載せられたクラッシックバーガーとフライドポテトをアメリカンコーヒーでお腹まで流し込んだ。

草の根からの平和行動が集結

広場に設けられた特設会場ではスピーチやパフォーマンスが繰り広げられていた。被爆者の中村雄子さんの訴えがあり、また、セミパラチンスク核実験場の放射線被害者の訴えも聞くことができた。「We shall overcome」の合唱もあった。会場は着物姿のご婦人方やカラフルなマントで身を包んだ青年など、視覚的にも賑やかだった。
多くの米国人にとって核兵器は軍事計画の中に組み込まれた通常兵器なのかもしれない。しかし、大義なきイラク戦争による甚大な人的・財政的な損失、戦争終結後も拡大するイラクや中東地域の混乱、自国で深刻化する経済的不平等など、生存権や社会正義が踏みにじられていくなか、米国では草の根からの平和行動が各地で湧き上がり力をつけてきた。そしてその力が核兵器廃絶・世界平和を目指す日本の強大な平和勢力と手を取りあい、こうしてユニオンスクエアに集まっているのである!
実際、広場に集まった「外国人」の肌の色、衣装、プラカードやチラシなどは実に多彩であり、親子連れの姿に彼らの平和活動の地道さを感じ取ることができた。

1万人の大パレード

1時間ほどして、日本原水協の「No more Hiroshima! No more Nagasaki! Abolish Nuclear Weapons!」の横断幕を先頭に、国連本部近くのハマーショルド広場までの大パレードがスタートした。「代表団ニュース」によれば参加者は一万人で、沖縄代表団のエイサーや三線、岡山代表団の「うじゃ踊り」(岡山の夏祭り名物)などが次々と披露されたそうである。
愛知代表団は5200ピースのLEGOからなる原爆ドームの模型を神輿代わりに行進した。第2班のメンバーは運び手としてよく奮闘した。この原爆ドームの第一印象はnot-so-greatだったが、通行人の評判はすこぶる良好で、交差点に止まるごとに多くのカメラが向けられた。一つひとつのピースにニューヨーク行動に向けたメッセージが書き込まれていて、この作業には保育園児も参加したと聞き、第一印象が大幅に修正された。

「We shall overcome 」を確信

ようやくハマーショルド広場に到着した。「核兵器の全面禁止を求めるアピール署名633万6205人」の横断幕が披露され、日本原水協代表団の高草木博共同代表が国連のアンゲラ・ケイン軍縮担当上級代表に署名目録を手渡した。松井一実広島市長もあいさつに立ち、平和首長会議として集めた百十万人分の署名目録を同じくケイン氏に手渡した。NPT再検討会議のタウス・フェルキ議長は、核軍縮は政府だけですることではなく、市民一人ひとりの行動があってこそ実現できると訴えた。ケイン氏は署名への感謝とともに、会議に参加する各政府代表がこの署名に込められたメッセージを心に刻むことを期待すると述べた。おそらく前途多難だと思うが、「We shall overcome」を確信し、明日の行動に向け散会した。

  ユニオンスクエアで開かれた集会で、司会の「Good-bye Nuclear Weapons !」のかけ声に合わせて手を振る参加者

  ハマーショルド広場での署名提出集会で、署名目録を手にする日本原水協代表団の高草木博共同代表(中央、右から2人目)

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