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【21.01.25】歯科医療と隣接医学研究会報告

歯科医師が知っておきたい医科疾患のポイント
感染症と院内感染対策〜COVID‐19、肝炎などについて〜
歯科副部会長 北村恒康


 協会歯科部会は、2020年12月12日(土)に「歯科医療と隣接医学研究会」を開催した。今回は、愛知学院大学歯学部顎顔面外科学講座准教授の宮地斉氏を講師に、「歯科医師が知っておきたい医科疾患のポイント 感染症と院内対策〜COVID-19、肝炎などについて〜」のテーマで行われた。

 新型コロナウイルス感染拡大が衰えを見せない中、歯科での感染症対策を考える機会を得た。初めに講師からの一言。今回のウイルスが克服できたとしても、将来また別のウイルス感染が起こる可能性がある。With COVID-19の時代に合わせて、今後も感染予防対策を続けていくことになるだろう。

歯科でのクラスター発生が少ない
 今までにも歯科では、感染対策と標準予防策が行われてきた。それに加えて、有熱患者や咳をする患者などをトリアージすることが行われてきた。発症前と有症期の患者のトリアージをしっかり行うことで、院内感染を食い止めることが大切である。歯科においてはトリアージが重要と考える。

院内施設内の消毒に推奨される消毒薬
 ご存知の通り62%から80%エタノール、0.05%次亜塩素酸ナトリウム、また30倍希釈のポピドンヨード剤による60秒の含嗽が推奨される。含嗽に対する注意点として、ヨード過敏症やヨード制限食を食している人には使用できない。衣類の着色や、歯の着色にも注意が必要である。

口腔外バキュームも大切だが
 口腔外バキュームも有効だが、すべての施設で設置、使用が行われているわけではない。通常のバキュームでも、的確な操作が行われているならば口腔外バキュームに近い有効性があると考えられる。

手指消毒が基本
 感染予防策において、手指の衛生は基本中の基本になる。個人防護具には、手袋、マスク、ガウンに加えて、目の保護のためのゴーグルが重要である。院内施設内の環境整備では、パソコンのキーボードがもっとも汚染している。かつては、紙カルテの汚染が言われていた。キーボードの消毒には、キーボードカバーをした上でのエタノールが最適である。

COVID-19感染
 飛沫感染と接触感染が主であることから、適切な換気と高頻度接触表面を中心に頻回な消毒と清拭を実施する。PPE(personal protective equipment)すなわち個人防護具では、処置に対してどの程度の用具で行うのか。開業医の立場としては、その使用方法には経済的問題や、安定的入手の問題があり難しい問題である。

SVR(Sustained Virological Response)ウイルス学的持続陰性化
 医科との対診でよく使用される用語。通常の健常人と同じ扱いで歯科的治療を行うことができる。一方で、化学療法施行時や免疫抑制剤を使用した際に、肝炎ウイルスが再活性化する可能性がある。

グローブの安全性/手袋をすれば安全か?
 手袋には、一定の確率でピンホールが存在する。新品でも、1.2%〜3.75%の範囲でピンホールが存在する。手袋の上から手洗いや手指消毒をして、再利用していないか。手袋のピンホールの発生が、未使用時に比べて高くなる。一度使用した手袋を再使用せずに廃棄し、毎回新しい手袋を使用する。術者は元より、特に患者に接しない医療補助のスタッフに注意を促したい。

FFR(Filtering facepiece respirators)使い捨て式防じんマスク
 N95マスク。Nは、耐油性なしの意味。直径5μm以下の飛沫核に付着した病原体を捕集することができる。ユーザーシールチェック(フィットチェック)、フィットテストが重要である。封鎖が不十分な場合には、機能を発揮することができない。またマスク全般に言えることだが、マスクの外面の汚染部分に触れない外し方を行うことが重要である。

職員の安全健康確保
 針刺し事故を含めた職員の安全健康確保は、事業主の責務である。針刺し事故は本人の過失ではなく、事業主の安全配慮義務違反になる判決もある。職員の安全健康確保には、日頃から十分に対策を練っておく必要がある。

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