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【20.10.15】「オンライン診療に関するアンケート」結果

「オンライン診療に関するアンケート」結果〜オンライン診療の拡大を懸念する声が多数

 協会社保学術部は8月に「オンライン診療に関するアンケート」を実施した。対象はFAX登録のある医科会員とし、3,861件にFAX送信し、802件の返信が寄せられた(回答率20.8%)。アンケート結果を紹介する。

◆オンライン診療の届出は約1割
 開業医会員のうち、8月1日時点でオンライン診療(情報通信機器を用いたもので、電話を除く)の施設基準の「届出をしている」と回答した医療機関は10.3%で、「届出をしていない」と回答した医療機関が89.2%と大多数を占めた(不明0.5%)。診療科ごとの届出状況〈表1〉を見ると、最も多い内科で14.4%、泌尿器科で12.5%、耳鼻咽喉科で9.6%となっており、一方で眼科は0%であった。
 また、オンライン診療の届出をしている医療機関の月平均算定件数は14.3件程度だった。医療機関ごとで見ると0件から200件と差が大きく、大多数は月平均10件以下であった。導入はしたものの利用を希望する患者がいない等の声もあった。  

◆臨時的取扱いとしてのオンライン診療
 オンライン診療の届出を行っていない医療機関には、新型コロナ感染拡大に伴う臨時的取扱いとして認められているオンライン診療を行っているかを尋ねた。臨時的取扱いのオンライン診療を行っている医療機関は17.4%であり、82.6%の医療機関は行っていないことがわかった。
 また、臨時的取扱いを踏まえて今後施設基準の届出を「予定している」は2.5%、「検討している」が24.6%、「考えていない」と回答したのが71.8%だった。

◆初診からのオンライン診療については評価が割れる
 回答者全員に、4月以降の臨時的取扱いで初診からのオンライン診療(電話も含む)が認められたことについての評価を尋ねた。「評価する」は20%と多くはないが、「評価しない」は40%、「どちらともいえない」は39.5%と評価が分かれた。自由意見で複数寄せられた「臨時的措置としてやむを得ない」「初診からは認めるべきでない」との考えが背景にあると推察される。
 オンライン診療の施設基準を届出していない医療機関群でも同様の評価だったが、届出をしている医療機関群では、「評価する」「どちらともいえない」がそれぞれ35.1%、「評価しない」29.9%であった〈表2〉 

◆オンライン診療の拡大には65%が反対
 政府や経済界は今回の臨時的取り扱いを特例とせず、初診も含めた「オンライン診療」を拡大していきたい考えだ。これについては、「賛成」5.6%、「反対」65%、「どちらともいえない」が28.9%で(不明0.5%)、開業医の診療科別で見ると〈表3〉の結果であった。診療科によってばらつきがみられるものの、いずれも「反対」との回答が多い。
 さらにその理由を選択式(複数回答可)で尋ねたところ、「賛成」の理由として「ICTの活用は医療分野でも推進すべき」73.3%が一番多く、次いで「僻地や離島など医師不足の地域にはメリットがある」68.9%、「対面でなくても患者の状態の把握と必要な医療の提供はできる」64.4%、「治療の継続を促しやすい」が60%であった。
 一方、「反対」の理由としては「対面しないと患者の状態を把握できず、必要な医療を提供できない」が88.9%と圧倒的に多く、「新型コロナの感染拡大の状況下では妥当だが、平時は対面診療を原則とすべき」が68.3%、「診療報酬が低く、システム導入にかかる費用対効果がない」36.1%、「地域性が薄まり、地域医療が崩壊する」19.4%であった。その他の意見では、診療行為の軽視や医療の質の低下を懸念する声、誤診・誤解への心配、一部負担金を徴収するシステムの不確立を指摘する声も多かった。  

◆医師の多くは対面診療を重視
 オンライン診療に対する自由意見では、「実際に患者を診て、聴診・触診しないと正確な診断はできない」など医療の質に対する意見が多く、患者の主訴やオンライン画像だけで判断するのではなく、対面診療を重視している医師が多いことが明らかとなった。診療科別では、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科では身体や患部の所見、検査、処置が必要であることが多いこと、また小児科、精神科では患者の微妙な表情や様子も含めて診断していることなどから、オンライン診療は不向きだとの声が多数寄せられている。
 診療報酬への不満も多く、オンライン診療の設定の複雑さや導入コストの高さ、通常診療よりも医療側の手間と時間がかかる点が問題視されている。また、誤診のリスクや責任の所在の不明確さ、医療訴訟などのトラブル増加を危惧する意見もあった。
 他方、「オンライン診療は必要。積極的に推進すべき」「AIの活用など、診断ツールの充実が更に必要」「通院・服薬中断の防止になる」など肯定的な意見も寄せられた。また、オンライン診療の利活用について「僻地や離島など医療資源が不足している地域での導入ならメリットあり」「慢性疾患等で症状が安定している患者への投薬なら可能」など一定の条件下での活用には前向きな意見も複数見られたが、その場合であっても「初診は対面診療であるべき」と付記されているのが特徴的だった。
 全体的には、対面診療を原則とし、僻地医療や慢性疾患への投薬には一定オンライン診療の活用が可能とするものの、オンライン診療の拡大には慎重な姿勢が見られた。

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