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【20.07.15】勤務医の労働実態・意識アンケート結果

8割が精神的な負担増 診療に集中できる体制へ改善を
勤務医対象にアンケート

 協会勤務医の会では勤務医会員を対象に「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う勤務医の労働実態・意識アンケート」を行った。アンケートは、月刊保団連6月号に同封し、6月15日(月)までの期間で実施した。返信は190通。回答者を医科・歯科別で見ると医科が144人、歯科が44人、不明2人だった。アンケート結果の概要を報告する。

治療優先で暴露リスク常に

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前に比べ勤務状況の負担感を聞いたところ、「精神的な負担が重くなった」が107人(56.3%)と半数を超えた。次いで「身体的にも精神的にも負担が重くなった」が44人(23.2%)だった。精神的な負担が増したと感じる人は151人(79.5%)とほぼ8割に上った(図1)。
 次に、負担を感じる人に負担や不安を感じる点を聞いたところ、190人中160人が回答。最も多いのは「自身・家族への感染の恐れ」で130人(81.3%)だった。「本来患者ごとに交換すべきグローブをやむを得ず使い続けなければならなかった」「ERへの輸送患者は治療を優先するために医療者の防護が後回しになることで感染。防護資材の不足」「COVID─19を受け入れる病院以外も常に暴露リスクにさらされています。小さい子供と医師の夫と暮らしており、絶対に自分が感染するわけにはいきません。全ての方が同じように思われていると思います。感染対策のための資源不足がおきないような対応をしていただきたいです」など、感染防止の資材不足のなか、感染の恐れを常に感じながらも診療にあたらなければならなかったことが声として寄せられた。
 同時に「患者減による病院運営や雇用不安」94人(58.8%)、「収入減少」53人(33.1%)など新型コロナウイルス感染症による医療機関の減収や患者減の影響を不安に感じている人も多かった。

【図 新型コロナウイルス感染拡大前と比べた勤務状況の変化】 新型コロナウイルス感染拡大前と比べた勤務状況の変化

感染防止へ資材確保を

 医療機関への必要な支援として、190人中159人(83.7%)が「マスク・消毒液・医療用ガウンなどの確保」を挙げている(下表)。「感染症対策のガウンなどは県・市などが必要な数備蓄してもらいたい」などの意見もアンケートで寄せられており、必要な資材を病医院任せにせず、行政がイニシアティブをとって確保し、迅速に病医院へ届ける体制が求められる。

感染防御対策して成立つ医療制度に

 また、医療機関への必要な支援として、86人(45.3%)が「病医院の減収分の補填」、74人(38.9%)が「医師・医療従事者への賃金補助」を挙げている。医療機関の減収への支援が切実な要望となっている。「発熱患者は全てコロナを疑って対応しないといけない為、感染防御対策に手間も費用もかかる」「医療体制含め政府の政策が貧困の何物でもない。きちんと感染対策もでき成り立つ制度にしないといけない」という声も寄せられている。
 「医療従事者への風評被害対策」を58人(30.5%)が求めているのも特徴となっている。

検査の充実、発熱外来・入院施設の確保を

 対応に苦慮した事例では、「保健所にPCR検査を依頼したが断られるケースが何例かあった」「事務員が熱発したがPCRがなかなか受けられず心配した」など医療従事者含めPCR検査が受けられないことや保健所の対応について、多くの記述があった。保健所と患者との板挟みで悩んだとの記述も見られた。「冬期にインフルエンザ、感冒との区別をするためにもまずコロナを否定しなければいけないのでPCR検査を充実させたい」「保健所増設、増員」などの声が寄せられている。医師が必要と判断した患者は検査できるよう検査体制の充実と、医療従事者は優先的に検査を受けられるようにすることが必要だ。自由記述欄では、発熱外来や入院施設の確保を求める声も寄せられた。「通常業務がギリギリの状態で待合での感染拡大や病室に感染患者が一人でも入ったらクラスターになりうる。専門的に別病棟でつくるべき」「病床確保に早くから予算措置を」との意見があった。感染症病床で大きな役割を占める公的・公立病院の再編統合計画は見直し、病床確保とスタッフ養成など医療供給体制充実へ転換が求められる。

安心して診療に集中できるよう改善求める

 アンケートでは、マスクなど感染防止のための資材不足、感染や減収への不安、検査体制や発熱外来・入院施設の不十分さなど多くの意見が寄せられた。
 第二波で同じ経験を繰り返さないように医師・歯科医師が、安心して診療に集中できるような体制へ改善が求められる。勤務医の会では、感染症対策を行っても成り立つ医療制度へ、今回寄せられた意見をもとに改善を求めていく。

表 医療機関への支援として必要と感じる項目
人数 割合
病床確保 34 17.9%
マスク・消毒液・医療用ガウンなどの確保 159 83.7%
ICUなど医療設備充実 38 20.0%
病医院の減収分の補填 86 45.3%
医師の確保・増員 28 14.7%
医師・医療従事者への賃金補助 74 38.9%
医療従事者への風評被害対策 58 30.5%
未回答 4 2.1%

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