会員のページ

【18.02.05】歯科医療と隣接医学研究会報告

骨吸収抑制薬投与中患者の歯科治療の留意点
〜顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016を中心に〜(上)
歯科学術委員 浅野 辰則


 協会歯科学術部会は、2017年12月2日(土)に「歯科医療と隣接医学研究会」を開催した。今回は、愛知学院大学歯学部顎顔面外科学講座准教授の宮地斉氏を講師に、「骨吸収抑制薬投与中患者の歯科治療の留意点」のテーマで行われた。講演の概要を歯科学術委員の浅野辰則氏がまとめたので、今号と2月15日号の2回に分けて掲載する。

 顎骨壊死検討委員会において2016年に、ポジションペーパーが4年ぶりに改定されたことを踏まえ、宮地先生より骨吸収抑制薬投与中患者の歯科治療の留意点について伺いました。 

○骨吸収抑制薬を投与する代表的疾患と薬剤投与の必要性の理解
 疾患としては(1)骨粗鬆症、(2)悪性腫瘍の骨転移、(3)多発性骨髄腫、(4)関節リウマチが挙げられる。
 骨粗鬆症は急速な高齢化に伴い年々増加し、推計で1300万人。
 骨の「病的老化」で、骨折リスクが増す骨格の疾患。医科では骨折予防のエビデンスに基づき骨吸収抑制薬の積極的投与が支持されている。
 悪性腫瘍の骨転移は乳癌、前立腺癌、肺癌など剖検では50%以上で観察され、患者QOLを著しく低下させる骨関連有害事象(激しい痛み、脊髄圧迫〜麻痺症状、高カルシウム血症など)の、重要な治療戦略としてゾレドロン酸(ゾメタ®)静注投与が実施されている。
 多発性骨髄腫は、形質細胞が癌化した骨髄腫細胞により破骨細胞が刺激され骨組織の破壊が進むため、また関節リウマチは、治療に用いる薬剤(ステロイド)の副作用によって続発性骨粗鬆症が進行するため、それぞれ骨吸収抑制薬が用いられる。
○骨吸収抑制薬とARONJ 
 新たな骨吸収抑制薬デノスマブ(ランマーク®やプラリア®)は、RANKLに対するヒト型IgG2モノクローナル抗体製剤である。BP製剤とは異なる機序で破骨細胞による骨吸収を抑制し半減期が1カ月前後と短く、BPのように骨に沈着残留せず、破骨細胞にアポトーシスを誘導しないためONJが発生しないと期待されていたが、BRONJと同様の顎骨壊死(DRONJ)が発生している。両者は臨床的に酷似するため、包括してARONJという名称が使われるようになっている。
○骨吸収抑制薬投与予定の患者には
 周術期と同様、投与2週間前までにとにかく口腔内衛生状態を良くしておくこと。治療中も歯科医師による定期的な口腔内診査を行うのがよい。
○骨吸収抑制薬の投与を受けている患者の歯科治療
 ONJ発生予防のための日常の口腔清掃の重要性を教育し、歯垢、歯石、う蝕歯、残根、歯周病、根尖病巣、不適合な義歯、修復物など、感染の原因となりうるものをできるだけ保存的に取り除き、徹底した口腔管理を行う。
(つづく)

▲ このページの先頭にもどる