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【17.05.15】住民税通知書へのマイナンバー 県内市町村の状況

県内市町村のアンケート結果

市町村から事業者に郵送される住民税の「特別徴収税額の決定・変更通知書」(以下、通知書)に従業員のマイナンバーが記載される問題(本紙2017年2月25日号8面)で、協会は愛知県内の54市町村に対して、対応状況を把握するため実態調査を行った。名古屋市は不記載(全桁*印字)、半田市、阿久比町は一部不記載(一部*印字)とすることが分かった。協会は各市町村に2月1日に要望書を提出し、マイナンバーの記載中止を求めてきた。協会の要望が実現した。

総務省事務連絡で圧力―8割超記載

この間、情報漏洩の危険性や厳格な管理を求められる事業者の負担など多くの懸念の声を受け、通知書にマイナンバーの記載をしないことを表明する市町村が全国で拡がった。この動きに対して、総務省は「特別徴収税額通知への個人番号記載に関するQ&A」(3月6日付事務連絡)を出して、総務省令で定めた様式に沿ってマイナンバーを記載し通知書を送付するように求めた。
今回の実態調査は、事務連絡を受けて各市町村の対応改善が後退しないか状況を把握するもの。結果は「様式通り記載する」と回答した市町村が八割を超えた。市町村担当者は、「当初不記載の方向で検討していたが、総務省からの強い指示で記載せざるを得ないと判断した」とコメントしている。
一割の市町村が「検討中」と回答を保留していたが、4月末の電話での聞き取り調査で、ほとんどが記載を決定した。市町村においても事務負担と財政負担は非常に大きく、事務連絡との間で対応に苦慮する市町村の実態が明らかになった。事務連絡で市町村を縛る国の強硬姿勢は、なし崩し的にマイナンバーを流出させ、制度を定着させようとするもので、容認することはできない。

名古屋市不記載を決定

名古屋市も「検討中」であったが、4月末までに「12桁全部を*印字し個人番号は記載しない。事業者から業務上必要だと求めがあれば、別途、個人番号を記載した通知書を書留で送付する」との回答を得た。愛知県で唯一不記載の対応を決定した。政令市での決定は他の市町村への影響も大きく今後の拡がりに期待したい。
半田市と阿久比町では12桁の一部を*で印字する。事実上マイナンバーは特定できないので、通知書は特定個人情報にはあたらず、事業者に厳重な管理は求められない。
また、津島市、愛西市、東浦町、美浜町、武豊町は、給与支払報告書にマイナンバーの記載がなかった従業員については、通知書にも記載しない対応をとる。従業員の意思への配慮は評価できるが、通知書の誤送付や紛失等への懸念は残る。

簡易書留での送付6市町村

「送付された側(事業者)の取扱いによる、送付した側(市町村)の責任はやはり不安」と市町村担当者は漏らす。事務連絡では、ガイドラインに基づき「必要かつ適切な安全管理措置を講じなければならない」としており、取扱いは事業者が適切に行うものとしているが、安全管理体制が取られている医療機関はどれくらいあるだろうか。大阪府保険医協会・大阪府歯科保険医協会が昨年九月に実施した「マイナンバー制度に関するアンケート」では、5割の医療機関が対応できていないという報告もある。
普通郵便での送付は誤送付や紛失等のリスクが大きい。リスク回避のため、蒲郡市、愛西市、北名古屋市、あま市、飛島村が簡易書留、豊根村が特定記録郵便を選択した。しかし、「追加で発生する負担に対する財政的措置を示すべきだ」との市町村担当者の意見もあり、事務負担と財政負担は余りにも大きい。
一方、従来通り普通郵便で送付する市町村では、誤送付等への対応として、担当者以外は開封しないことや、誤配の場合は返送の旨を封筒に印刷する工夫を行うところもある。

特別徴収税額通知書への対応状況結果(PDF)を表示

マイナンバーはマスキングして保管を

  そもそも従業員の給与から住民税を天引きして市町村に納める手続きにマイナンバーは必要がない。通知書に記載されたマイナンバーの取扱いは事業者に任せられている。
名古屋市、半田市、阿久比町以外の市町村に居住する従業員については、マイナンバーが記載されるので厳重な管理が求められるため、通知書が市町村から送られてきたら、右記の通り留意いただきたい。

通知書へのマイナンバー記載3つの問題点

(1)医療機関に重い管理責任を押しつけ
マイナンバーが記載された書類は特定個人情報として厳重な管理が求められる。故意に漏えい等した場合は「3年以下の懲役又は150万円以下の罰金、又はこれらの併科」の刑事罰が科せられる。これは医師の守秘義務違反で定める「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」よりも重い。
(2)普通郵便での送付は郵便事故で漏えいが懸念
個人番号事務取扱担当者以外の職員が通知書を受け取り開封するリスクや、誤配など郵便事故による情報漏えいも懸念。「追跡可能な移送手段の利用等、安全な方策を講ずる」とする安全管理措置にも抵触する。
(3)従業員の意思とは無関係、勝手に通知
法律では、従業員は職場にマイナンバーを提供しないことも選択でき、提供しないことをもって罰則など不利益はない。提供は任意とする制度とも矛盾し、プライバシー権の侵害にあたるとの指摘もある。

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