会員のページ

【15.11.15】診療報酬改定情報(1)

財務省サイドからは強いマイナス改定圧力

 来年4月の診療報酬改定に向けた議論がいよいよ本格化している。中医協は10月から週1回以上のペースで総会を開催、社会保障審議会医療保険部会・医療部会では、改定のための「基本方針」作成に向けた議論がすすんでいる。一方、財務省サイドからはマイナス改定を求める声が強まっている。本号では、財務省サイドで検討されている内容を中心に、改定率をめぐる問題を紹介する。

国民の味方のフリをして、抑制患者負担増の提案も
 財務相の諮問機関である「財政制度等審議会」の財政制度分科会は10月30日開かれた会合で、具体的な下げ幅は示さなかったものの、財務省当局から「一定程度のマイナス改定が必要」という提案がされ、委員の多数がその意見を支持したと伝えられる。
 また、当局の提出資料では、「医療費の伸びを放置すれば、今後も保険料負担の増加は免れず、雇用者の実質賃金の伸びが抑制されるおそれ」があるとも指摘。診療報酬を引き上げることによって、働く人=国民の生活が圧迫されるかのようなことまで主張している。「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指している安倍政権の経済政策によって、直近のニュースを見ても、トヨタ自動車が今年9月中間決算で、過去最高の1兆5,834億円の利益を上げ、「世界有数の利益を稼ぎ出した」(『朝日新聞デジタル』11月5日)など大企業が空前の利益を上げる一方で、働く人の生活は「非正社員、初の4割、雇用側『賃金の節約』」(『同デジタル』11月4日)とあるように、ますます厳しくなっている。
 このようなアベノミクスによる格差拡大政策こそ国民の生活を脅かす大元なのであり、この責任を医療費増に転嫁するなど、見当外れも甚だしいと思うが、どうであろう。
 さらに、今回の財務省の提言には、今度の診療報酬改定に向けて「湿布(第1世代・第2世代)を含む鎮痛消炎剤の除外、ビタミン剤及びうがい薬の例外条件の廃止を検討」し、対応を求めるだとか、2017年の通常国会に法案を出して、かかりつけ医以外を受診した場合に現行の定率負担に加え、「定額負担を導入すべき」など、患者・国民の負担増にまで踏み込んで提案している。これらを見れば、国民の味方をするフリをして、財務省が実際どこを向いているのかは明らかだろう。

医療を良くするためにも診療報酬の引上げが必要
 改定率がどうなるのかは、毎回、次年度予算案が決まる年末ギリギリまでもつれて来た。今回も、医療経済実態調査の結果を踏まえて、同じように年末までの攻防になると思われる。この間の診療報酬改定の推移を示したのが〈表〉である。前回の改定は、この表では改定率プラス0.1%となっているが、消費税が8%に上がることに対する対応を含めると実際はマイナス1.26%のマイナス改定であった。
 〈表〉にあるとおり、小泉内閣時代の2002年から2006年の改定で診療報酬は大きく切り下げられた。その結果、「医療崩壊」といわれる事態が生まれ、政権交代の一つの要因になった。
 小泉内閣時代に下がった分を元に戻すだけでも大幅な診療報酬の引き上げが必要になる。協会・保団連が今取り組んでいる会員署名を大いにすすめ、医療を良くするために診療報酬の引き上げがどうしても必要だと声をあげていくことが大切だ。   (つづく)
(文責・事務局吉田)  

▲ このページの先頭にもどる