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【11.06.25】STOP 浜岡原子力発電所 ―医師・歯科医師署名にご協力を 

核燃料サイクルは破綻している

協会が取り組んでいる「浜岡原発即時停止」署名では、「原発の縮小、廃止への政策転換」「プルサーマル計画」の中止も求めています。署名のご協力をお願いします。今回は原発行政と核燃料サイクルについて解説を掲載します。(文責・編集部)

被災地の苦悩をよそに永田町では「菅降ろし」の激震が走った。菅首相が「脱原発」を表明したことが菅降ろしの要因と言われる(6月3日東京新聞)。それほど原発は国家の根幹に関わる大問題というわけだ。

「原子力の平和利用」から始まった日本の原子力政策
1954年3月1日、中部太平洋ビキニ環礁でアメリカの水爆実験で第五福竜丸が被爆する事件が起きた。これを契機に日本では原水爆禁止の運動が起こり、1955年には第1回原水爆禁止世界大会が開かれた。この反核平和運動に強い危機感を持ったのがアメリカだった。
日本人の「原子力アレルギー」を消すために「原子力の平和利用」に足を踏み入れさせる動きが始まり、第五福竜丸の被爆が報道された直後から日本への実験用原子炉の提供、売り込みが開始された。これに応えた形で動いたのが当時若手議員だった中曽根康弘、稲葉修氏ら。財界では読売新聞社主の正力松太郎氏だ。中曽根氏は、1951年にダレス国務長官に原子力の平和利用研究を禁止しないよう要望書を提出、その後、アメリカの原子力施設を見学したりと、原子力推進でアメリカと共同歩調を取ることになる。

2億3,500万円の原子力予算
中曽根氏らは、第五福竜丸の被爆が報道される2週間前の1954年3月3日、予算委員会の最終日に原子力予算を計上した予算修正案を提出、翌日衆院を通過。
この日本最初の原子力予算2億3,500円という金額はウラン235の語呂合わせだという。金額より日本で原子力開発を開始させることが重要だったのだ。

アメリカの枠組みに縛られた日本の原子力政策
アメリカの実験炉提供から始まった日本の原子力開発は、日米原子力協定を初め各種の取り決めで、核燃料の輸入から処理まで全てをアメリカの枠内に縛られてきた。
1968年締結の協定では、原発に必要なウランをアメリカから輸入することが義務付けられた。日本の原発事業者は米国以外の濃縮ウランを30%以上は混焼しないという制約を受けており、現在、濃縮ウランの7割以上はアメリカから輸入している。また日米原子力協定で「六ケ所村再処理施設」、高速増殖炉「もんじゅ」に対しアメリカは「同意」という形で推進を求めている。
だから、原発推進の「エネルギー基本計画(2010年6月策定)を白紙に戻す」と「脱原発」の志向を表明した菅首相が5月末フランスでのG8サミットでは一転して「最高度の原子力の安全を実現する」とオバマ大統領に原発推進を表明したのである。

核燃料サイクル計画
現在、日本にある原発54基は全てアメリカで開発された軽水炉型でウラン235を3〜4%に濃縮した濃縮ウラン燃料を使用する。核分裂熱をエネルギーに発電するが、炉内の核分裂で、燃えないウラン238の一部がウランの1万倍から1億倍という放射能を持つプルトニウム239になる。使用済み燃料からはこのプルトニウムとウラン、死の灰と呼ばれる高レベル放射性廃棄物が発生する(資料1)。使用済み燃料を再処理して、これを再度燃料として使用するのが核燃料サイクルでエネルギーの有効活用、核燃料の「国産化」が図られるという(資料2)。取り出したプルトニウムを使用する原子炉が高速増殖炉だ。軽水炉では水で減速した中性子を用いて核分裂を起こすが、減速しない高速の中性子を用いるので「高速」、炉内でウラン238をプルトニウムに変え、使用量以上の核燃料を生産するので「増殖」炉とよばれる。
高速増殖炉の実証炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)は、ナトリウム漏れなど重大事故続きで停止、再開の目処もない。青森県六ケ所村の再処理工場も試運転の度にトラブルが発生、2009年試験終了=完成が延期、当初7,600億とされた建設費が現在までに2兆2,000億円近くに膨らんでいる。

プルサーマル計画
再処理燃料を使う本命である高速増殖炉が稼働していないため「つなぎ」として打ち出されたのがプルサーマル計画である(資料2の左の軽水炉サイクル)。プルサーマルは、プルトニウムとサーマルリアクター(軽水炉:熱中性子炉))から出来た合成語で、プルトニウムとウランを混合したMOX燃料を通常の軽水炉で利用することを言う。福島原発3号炉が使用中、浜岡原発4号炉で使用予定だった。このMOX燃料が炉内でどのような挙動を示すか未知であり、危険を指摘する声が強い。

回らない核燃料サイクルから脱する自主性を
核廃棄物の処理の目処がないまま建設された原発は「トイレのない高級マンション」と呼ばれた。再処理施設、高速増殖炉どちらも稼働出来ず、核燃料サイクルが回らず、使用済み燃料が溜まる一方の現在は「外部に作ったトイレ自体の配管が切れ、各所で詰まった」状態と言える。
使用済み燃料の再処理はコスト的に合わず、高濃度の放射性廃棄物を増やすことになるため、すでに世界各国が撤退している。
今、日本にとって必要なのは破綻した核燃料サイクル計画から脱して、安全で持続可能なエネルギー確保への道を選択する自主的な判断力と実行力である。

資料1  

資料2  

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