会員のページ

【10.02.05】身近な法律知識〜弁護士さんに聞いてみようNO.23

セクハラ対策の体制整備は厚労省指針を参考に

Q.世間話をしていただけのつもりなのに、女性スタッフから「不快な内容だった」「セクハラだ」と言われてしまいました。「セクハラ」についての法律の定めはどうなっていますか?

A.セクハラは、被害者の個人としての尊厳を不当に傷つけ良好な就業環境で就労する権利を侵害するものであり、行為者が慰謝料等の損害賠償責任を負うことがあるのみならず、使用者も行為者と連帯して責任を負うことがあります。このようなセクハラについては、その発生を未然に防止し、かつ、これに起因する問題に迅速に対処することが重要です。
 このようなことから平成19年4月に施行された改正男女雇用機会均等法では、事業主に対して、職場におけるセクハラ対策に関する体制の整備など必要な措置を講ずることが義務づけられました(均等法11条)。
 職場におけるセクハラの内容について均等法は、単に「職場において行われる性的な言動」などと抽象的に規定しているのみですが、これについて、厚生労働省の指針がより具体的な内容を定めています。厚労省の指針では、「性的な言動」とは「性的な内容の発言」及び「性的な行動」を指すとされ、「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が含まれ、「性的な言動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が含まれる、とされています。「性的な内容の発言」には、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなども当たります。そして均等法は、「対価型セクハラ」(労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の拒否や抵抗により、その労働者を不利益に扱うこと)及び「環境型セクハラ」(労働者の意に反する性的な言動により就業環境が不快となり就業する上で看過できない支障が生じること)の双方を防止するものとしています。男性から女性に対する言動のみならず、女性から男性に対する言動や同性間の言動であってもセクハラに当たりえます。
 このように指針はある程度の例を示してはいますが、セクハラの状況は多種多様であり、実際には「意に反する性的な言動」かどうか等は、個別の判断とならざるをえないでしょう。その場合、性に関する言動に対する受け止め方には個人間や男女間で差があるため、行為者の認識でなく相手方の主観を重視し、「平均的女性労働者」「平均的男性労働者」を基準として判断することが適当とされています。そのほか「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」などといった、性別により差別しようとする意図に基づくと考えられる発言もセクハラに当たるとされることもありえますので注意が必要です。
 改正均等法によって事業主はセクハラ対策について体制の整備など必要な措置を講ずることを義務付けられています。厚生労働省のウェブサイト等で公表されている指針などを参考にして体制を整備されることをお勧めします。
(稲垣仁史協会顧問弁護士)

▲ このページの先頭にもどる