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【09.09.05】他科の疾患を持った患者さんの歯科治療(2)

他科の疾患を持った患者さんの歯科治療(2)

循環器疾患を持った患者の歯科治療の留意点
歯科学術委員 荒尾 和子

協会歯科学術委員会は、7月29日(日)に、シリーズ研究会「他科の疾患を持った患者さんの歯科治療」を開催した。第2回目となる今回は豊橋ハートセンター院長の鈴木孝彦氏を講師に「循環器疾患を持った患者の歯科治療の留意点」のテーマで行われた。講演の概要を歯科学術委員の荒尾和子氏がまとめたので紹介する。

高血圧症とは?
血管が硬くなる病気で、60歳以上の半数、70歳以上の6〜7割が罹患している。原因不明の本態性高血圧が90%を占める。歯科治療上注意が必要なのは、重度高血圧で、収縮期血圧が180以上または拡張期血圧が110以上の状態。もう一つは、収縮期高血圧。収縮期血圧が140以上かつ、拡張期血圧が90未満の状態。この2つの疾患に、糖尿病、腎障害、臓器障害が重なるとリスクが上がる。

高血圧患者の通常歯科治療時の留意点
・治療当日も、降圧剤を内服してもらう。
・処置に際して、局所麻酔をしっかり。血圧上昇させないため鎮静をはかる。
・血圧測定は5分おき。
・抜歯は2〜3回通院して慣れていただいてから行う。
・吐き気、胸部症状の訴えは、即座に治療を中止する。
・血圧の変動:180/110なら処置は中止。

エピネフリン含有局所麻酔薬の使用を避けた方がよい疾患
・甲状腺機能亢進症。
・うつ病治療薬の三環系抗うつ剤(MAO阻害剤)服用患者。
・セレネース、リスパダール等内服中の患者。
・αblocker:カルデナリンなど服用中の患者。

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)のある患者の歯科治療上の留意点
・歯科治療に伴うストレス(不安、疼痛など)を極力避ける。
・治療時間は短くする。
・少しずつに分けて抜歯する。
・狭心症患者のアポイントは午後に。午前中に発作が起きやすい。
・予防的に3〜5分前に亜硝酸剤(ニトロ錠)舌下投与。
・フランドルテープの2時間前貼布。
〈治療中に発作が起こった場合の対処法〉
・歯科治療の中止。
・座位の楽な姿勢を取ってもらう。
・亜硝酸剤の舌下投与。
・酸素吸入。

急性冠症候群(ACS)不安定狭心症・
急性心筋梗塞
歯科治療上最も注意が必要な疾患。

不整脈患者の歯科治療における留意点
・歯科治療中の心室細動には、AEDで対処する。
・リスクの高い患者へのアドレナリン含有局所麻酔薬は使用禁忌。
・短時間で行える簡単な処置以外は高次医療機関に紹介する。
・抗血栓剤による術後出血への予防。

人工ペースメーカー埋め込み患者に対する注意
対極板を使った電気メスを使用しないこと。

感染性心内膜炎の予防について
▽心臓弁置換手術をうけた患者。
▽感染性心内膜炎の既往を有する患者。
▽複雑な新奇形を持っている。
これらの方には予防のための、抗菌剤を投与する。

感染性心内膜炎に対する注意
・何回も観血処置をする場合、抗生剤投与して1〜2週間あける。
・開放創ができるので、歯肉切除禁忌。
・殺菌性含そう剤の長期使用禁止。
・口腔洗浄装置の使用禁止。
・歯周疾患、う蝕により予後不良と思われる歯は、積極的に抜歯。
・歯科治療後に発熱などの症状が発現した場合は内科を受診する。

まとめ
初診時の血圧測定、既往症、身体所見に注意し、循環器疾患を有する患者の歯科治療は、担当専門医と相談の上なら、安全に施行可能である。

※当日の様子を撮影したDVDをご希望の先生は、協会歯科担当事務局までご連絡下さい。

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