運動方針

2018年度「保険でより良い歯科医療を」愛知連絡会活動方針

1、わたしたちをとりまく情勢と「保険で良い歯科医療」を求める運動の重要性

安倍政権は,「いよいよ憲法改正に取り組むときがきた」と改憲発議に前のめりとなっているが,4月に発表された世論調査では,いずれも「安倍首相の下での改憲」に反対の声が多い.また,森友・加計問題,自衛隊の日報,裁量労働制のデータで明らかになった「隠蔽」「改ざん」「ねつ造」など,国民からの信頼は失墜している.経済においても,個人消費は低迷し,日銀の物価上昇達成期限の放棄に象徴されるように,アベノミクスは完全に破綻していることは明らかである.

社会保障の分野では,すでに70歳からの窓口負担2割化が段階的に実施されているが,さらに75歳以上の2割化が計画されており,これが実施されれば,次に介護保険の2割化につなげられることも考えられる.また,薬剤の保険はずし,金融資産に応じた自己負担など,「世代間の公平性」論を楯に,患者の一層の自己負担拡大を狙っている.

しかし,国民の生活は依然として厳しい状況が続いている.総務省「家計調査2016」を基にした推計では,65歳以上の高齢者の27%が生活保護基準以下の収入で生活しており,平均的な高齢者夫婦世帯の月額年金収入は約19万円,単身者では同11万円とされる.また,無貯金の高齢者も15%もいることがわかっている.4月から国民健康保険が都道府県単位化されたが,保険料が世帯所得の2割に及ぶ自治体もあり,加入者の負担能力を超えている現状がある.それにもかかわらず,保険料の収納率を上げるため滞納差し押さえが増えており,21万2千件(2011年度)から33万6千件(2016年度)と,5年間で12万件を超えるほど増加している.正規の保険証を取り上げられ,重症化,手遅れとなる事態も起きている.

歯や口腔の健康,咀嚼や口腔機能の維持・回復が,全身の健康に深く関係し,QOLを向上させることが,マスコミなどでも取り上げられ,国民の認識として一層広まっている.しかし,全国21の保険医協会が行った学校歯科治療調査では,「歯科治療が必要」と判断されたにもかかわらず,受診していない子どもたちが,小学校で52.1%,中学校で66.6%,高校で84%にものぼることが明らかになった.学校からは「保護者の関心の低さ」「共働き・一人親などの家庭環境」「経済的理由」などが上げられ,これらが複合的に絡み合っているとも指摘されている.「子ども医療費無料制度の広がりで,必ずしも経済的な問題ではない」との意見もあるが,格差と貧困の広がりが歯科医療機関への受診抑制の要因となっていることは否定できない.

2016年度の概算歯科医療費は約2兆9000億円で,全体の国民医療費が約41兆3000億円と前年度から0.2兆円減となる中,1.5ポイントの増加となった.しかし,医療費全体に占める割合は7.0%であり,前年度比+0.2ポイント,前々年度比±0ポイントと大きな前進は見られない.

2018年4月の診療報酬改定では,国民が望む「安心・安全な歯科医療」を逆手に取り,初・再診料に院内感染防止についての施設基準が設けられた.施設基準を満たした医療機関では,わずかに3点の増点となるが,満たせない医療機関では10点が減算される仕組みとなる.このような仕組みは,医療機関を差別・選別するものであるばかりか,患者にとっても受診する医療機関で初・再診料が違うという混乱を招き,不安・不審をあおるものとなりかねない.政府・厚労省が行うべきは,全ての医療機関が実効ある院内感染対策を行えるよう指導し,診療報酬により財政的な保証をすることであり,それが国民の望む「安心・安全な歯科医療」を提供する責務である.

歯科医療の危機を打開するためには,歯科医療費の総枠を拡大して,経済的な負担を心配することなく受診ができるよう窓口負担の軽減,歯科医療技術の進歩に見合った保険医療制度の拡大,診療報酬の拡大を実現を追求していくことが必要である.

愛知連絡会は,2018年度,以下の活動を通じて,歯科医療の厳しい現実を県民に訴え,「保険で良い歯科医療」の実現を迫っていく運動をさらに強めていく.

2、今年度の方針

  1. 県内各自治体で「保険でより良い歯科医療を求める意見書」採択運動に取り組む.
  2. 若い世代の離職など,歯科技工士の現状を改善する運動に取り組む.歯科技工士との対話を行い,連絡会の活動に参加してもらえるよう働きかける.歯科衛生士とも協力関係が作れるよう取り組む.
  3. 糖尿病予備群への歯科検診事業の実施,子どもの歯並びの治療の保険適用など,患者・住民の要望を汲み上げて,実現のために県内自治体,関係各所に働きかける.
  4. 地方議員に,歯科医療の現状や重要性を訴える活動を行う.
  5. 市民向けの取り組みとして,市民公開講座や出前学習会を開催する.連絡会参加団体と協力して,年齢や対象,テーマなどを広げて取り組む.
  6. イレバデー(10/8)からイイハデー(11/8)までのアピール月間に街頭宣伝などを行い,歯の健康や歯科医療改善の必要性を訴える取り組みを行う.
  7. 連絡会ニュースを定期的に発行する.
  8. 事務局会議・世話人会の定期開催と組織の強化をめざす.
  9. 「保険で良い歯科医療を」全国連絡会に参加し,全国の運動と協力・共同した活動に取り組む.

▲ このページの先頭にもどる