協会の主張・決議・要望

【20.10.05】オンライン診療

拡大は医療の質・安全性低下に繋がる

オンライン診療は、4月の診療報酬改定での算定対象の拡大や要件緩和が行われた。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための臨時的な措置として、施設基準の届出なしで初診からでも行えることとなっている。そして政府は、7月に閣議決定した「骨太の方針2020」の中で、「診察から薬剤受取までオンライン(診療)で完結する仕組みを構築する」と明記している。
協会では、8月にFAX登録のある医科会員を対象に「オンライン診療に関するアンケート」を実施し、約二割にあたる802件の回答があった(報告は10月15日号掲載予定)。政府や経済界が推進するオンライン診療の拡大については、「賛成」は5.6%、「反対」が65%、「どちらともいえない」が28.9%であった。
自由意見では、「診療科や診療内容によっては有用」「僻地や離島などの地域にはメリットがある」「対面診療とは異なる診療技術と評価の再検討が必要」と肯定的にとらえる意見もあったが、「聴診や触診などの対面診療は軽視できない」「患者の訴えだけでなく検査や画像診断が必要な場合が多い」「医療の質の低下につながる」「見落としが増え訴訟になる」など、オンライン診療拡大の影響を危惧する意見が多数であった。特に、検査・処置、リハビリ等が必要な眼科・耳鼻咽喉科・整形外科、あるいは患者さんの表情など微妙な変化の把握が重要な小児科・精神科・皮膚科などの医師からは「オンライン診療は困難」「責任をもてる診療ができない」との意見も寄せられている。
厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」では、新型コロナの臨時的措置がとられた4月から6月までの実績の検証で、受診歴のない初診患者への麻薬・向精神薬が投与された事例や遠方の患者を診療した不適切事例、発熱や頭部外傷、急な腹痛など重症な疾患による可能性のある症状への対応事例も報告されており、誤診や重症化のリスクが高まるとの指摘もされている。
しかし政府の規制改革推進会議では、「病院・診療所という場にとらわれず、画像音声によるオンライン診療と業務支援システムの利用で効率的な医療サービスが受けられる」とし、対面診療を基本とする法的な規制・制度を抜本的に見直すことまで言及している。オンライン診療は対面診療を軽視し、医師と患者の信頼関係や医療の在り方を根本的に変えることにつながる。安心・安全な医療を提供するために、安易なオンライン診療の拡大を許すわけにはいかない。

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