協会の主張・決議・要望

【20.05.5・15】改憲と法改正

どさくさ紛れの「自由」の制限をするな

 新型コロナウイルス感染拡大や医療崩壊が懸念される中、安倍首相は5月3日に新型コロナウイルスの感染拡大と憲法について、「憲法にどのように位置づけるかについては、極めて重く、大切な課題」と述べた。伊吹文明元衆院議長も、現在の憲法のままでは強制隔離などの措置が十分にとれないとして「公益を守るために個人の権利をどう制限するか。憲法改正の実験台と考えた方がいい」と述べている。これらの発言は、自民党が九条に自衛隊を明記することと併せて掲げている緊急事態条項を持ち出したものだ。
 憲法学が示すところによると、貧困の解消や社会的公正の実現などのためには、政府が経済的自由の分野に介入することを想定し「経済的自由」への一定の制限を規定している。これに対して思想・信条の自由や集会・結社の自由、言論・表現の自由という「精神的自由」は、優先して保障すべき基本的人権である。
 しかし、自民党の改憲案の緊急事態条項は、大災害などの緊急時に内閣にさまざまな権限を集中させ、言論や集会・結社の自由などの市民の権利を制限することを認める。しかし、感染症法では強制隔離や就業制限などの措置がすでに規定されており、問題はあるが今回の新型コロナに関して成立した特措法でも医療施設のための土地収用などが規定されている。現行法で対応が可能で、憲法を変える理由にはならない。
 今国会では、この他にも「スーパーシティ」をつくるための国家戦略特区法改正も提出された。自動運転や遠隔診療推進などを表向きのメリットと謳うが、スマートフォンなどの端末に搭載されたGPSや町中に張り巡らされた監視カメラ網などによって買い物からゴミ出しなど市民生活全般の情報収集をすすめる内容だ。「匿名化したビッグデータといっても問題はある。工学的には特定の個人と結びつけたデータも取得できるのだから、管理する側が住民のプライバシーに踏み込んでくる可能性がある」「監視社会の危うい臭いがぷんぷんとする」(4月23日、中日新聞)というべき問題がある。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、国民が命の危機にさらされ、医療や生活、経済をどう守るのか、一刻を争って具体化すべき時期に、「どさくさ紛れ」(同上記事)に「自由」を規制する法案や改憲をすすめている場合ではない。

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