協会の主張・決議・要望

【17.09.05】診療報酬

医療の質・量担保には引き上げは必要

2015年7月に都内の病院で産婦人科専門医研修を行っていた男性医師が自殺。今年7月末に労基署から過労死と認定された。この医師は、死の直前1カ月の残業時間が173時間に及び、過去には月200時間を超える残業もあったという。単なる長時間残業というに留まらず、分娩や緊急手術などの対応のストレスが心身を死に至らしめるところまで追い込んだことは想像に難くない。
しかし、厚労省の「働き方改革」は、医師への時間外労働規制適用を五年先送りしている。遺族は「医師も人間。その労働環境は整備されなければこのような不幸は繰り返される」と綴っている。
労働環境整備の一つの方途は、診療報酬引き上げであろう。正当に賃金を支払える環境が必要である。
2018年度予算編成では、社会保障費の自然増分6,300億円を五千億円に圧縮するために、主な財源として、診療報酬のマイナス改定が検討されている。
2002年から2016年までの8回の診療報酬改定で、累計10%以上のマイナス改定となっている。このことは、医院経営に大きな影響を与えている。2015年11月に厚労省が中医協で発表した「医療経済実態調査」結果では、一般診療所全体の損益差額は減少しており、一般病院も赤字傾向となっている。
診療報酬は医療の質と量を担保するものである。患者さんに提供する医療水準を担保するためにも、医療従事者の技術を正当に評価し、医療機関の経営基盤を安定させることが喫緊の課題である。そのためにも、技術料を中心に10%以上の診療報酬の引き上げを求めることは、正当な要求である。
厚労省の初代医務技監に就いた鈴木氏は、18年度改定について、薬価財源を診療報酬本体に振り替えるのではなく、「医療本体、介護、障害の3つの間で」配分する認識を示している。高薬価構造の是正による財源は技術料引き上げや患者負担軽減の方に振り向けられるべきである。
一方、日本の医療保険制度下では、保険料負担に加え医療機関等で一定割合の窓口負担が徴収されるため、診療報酬引き上げは患者、国民の負担増に連動する構造になっている。このため、診療報酬引き上げの要求と同時に、患者負担の引き下げは一体不可分の要求となる。
保険医協会が取り組みを始めた「診療報酬引き上げと患者窓口負担の軽減を求める医師・歯科医師要請署名」にご協力をお願いしたい。

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