協会の主張・決議・要望

【17.06.25】医師の働き方改革

改善は待ったなし、正しい現状認識から

政府の働き方改革実現会議は3月28日、働き方改革実行計画をまとめた。電通社員の自殺が一つのきっかけでもある。
医師も時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づく応召義務などの特殊性を踏まえた対応が必要とされ、改正法の施行期日の5年後をめどに規制を適用とすること、2年後をめどに規制の具体的なあり方や労働時間の短縮策などについて検討し、結論を得ることが決まった。
先送りされた背景には、医師が規制対象となり労働時間が制約されることで地域医療への影響を懸念したためだ。しかし、医師の労働環境改善を先送りにして良いのだろうか。
厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師の働き方ビジョン検討会」(以下ビジョン検討会)の報告書によれば、「20代の勤務医は週平均55時間勤務し、これに当直や待機が12時間以上加わる」「週60時間以上勤務していたのは男性27.7%、女性17.3%である」等、多くの医師が長時間働き、厳しい勤務に耐え医療を支えていることは明らかである。総務省の2012年「就業構造基本調査」でも職業別週労働時間60時間以上の雇用者割合が医師は38.1%と、全業種の中で一番高く、医師の過労死や過労自殺も新聞紙上でもたびたび報じられている。
しかし、ビジョン検討会は、医師「偏在」を前提として議論を進め「環境整備が功を奏せば、医師を増やさずとも、医療需要を満たせる」と報告した。
働き過ぎの医師の現状を見れば「不足」していることは明らかであり、「偏在」というなら、どこに余っているのか示すべきである。医師の過労死・過労自殺の根絶、労働環境改善のために、医師の増員は必須である。今こそ「偏在」の議論から脱却して議論を始める必要がある。
現場の病院側も問題を先送りする余裕はない。近年病院に労働基準監督署が立ち入るケースが増えているからだ。実際に労働基準監督署の立ち入りで、遡及して時間外労働の割増賃金を支払ったこと等から、経営が危機に陥った病院も出ている。他の病院管理者からも法に則って払っては病院経営が立ち行かなくなるという声が聞かれる。正当に賃金を支払えるよう診療報酬を引き上げることも早急な課題となっている。
医師の健康は医療の質に直結する。今こそ医師不足の現実に目を向け、現場の医師の意見を反映した労働環境改善を議論すべきである。

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