協会の主張・決議・要望

【17.03.25】保険で良い歯科

患者署名に取り組み歯科医療の充実を

 昨年の診療報酬改定から一年が過ぎ、早いもので一年後には超高齢社会における日本の医療・介護の在り方に大きく関わる同時改定が待ち受けている。来年の改定は、地域包括ケアの構築を柱にした「かかりつけ医」への様々な誘導が予想される。この大きな動きに歯科も巻き込まれるが、そこでの歯科医療の立ち位置と役割が問われることになろう。
 昨年の改定では「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」が突然姿を現したが、その狙いは、入院から在宅へという大きな流れの中での在宅歯科診療の推進である。そもそもこの「か強診」は、施設基準として歯科医師の複数名配置を厚労省は目論んでいた節がある。現行では歯科医師と歯科衛生士がそれぞれ一名以上配置でも可能となっているが、この「か強診」の診療所においては「迅速に歯科訪問診療が可能な歯科医師をあらかじめ指定する」とある。このことからみても、「か強診」は、歯科医師複数体制を優遇する意図が見え見えだ。翻って、一人歯科医師体制の保険医療機関は、診療報酬上の光が当たらない立ち位置にある。格差と貧困が国民の中に広がっているが、歯科医療機関の間にも大きな格差が生まれつつある。地域包括ケア推進の中で、一人ドクターの医療機関は、医科歯科を問わず経営困難に追い込まれる状況が作られつつある。このまま手を拱いていると、来年の改定がそれに一層拍車を掛けるだろう。
 ところで、国民皆保険のなか、平均寿命の延伸に大きく関わっているのが、保有する歯の本数である。歯の損傷・欠損などを歯科補綴で修復することは、咀嚼・発音・外見の回復など多くの役割を果たす。歯科補綴をすることは、歯の本数を回復し、健康への貢献をすることでもある。ところが大事な役割を持つ補綴であるにも関わらず、保険の補綴物を製作する歯科技工士は、長年低賃金・長時間労働にさらされ、今ピンチに陥っている。事業を継承する若者が極端に少ないのだ。それは、長年歯科界では「保険と自費のトータルバランス」の医院経営という状況が放置され、そのしわ寄せが来ているからだ。
 この状況を打開するには、来年の改定で、国に保険の歯科医療への予算を大幅に増やしてもらうことが必要である。「口から食べる」大切さを保障する上で、今こそ保険で良い歯科医療の実現が求められている。そのためにも患者署名に取り組むことが必要なのだ。

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