協会の主張・決議・要望

【17.03.15】介護保険制度

負担増・給付抑制からの転換を

「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」が2月7日、国会に提出された。内容は介護保険の利用者負担増、介護療養病床を原則廃止し介護医療院を創設するなどとなっている。利用者負担増について、政府は負担割合が引き上げられても高額介護サービス費の適用により影響は少ないとしているが、介護保険は定率の負担金を一旦支払った後償還を受ける仕組みとなっているため、利用時の負担が増えることの影響は大きく、利用控えに繋がる恐れがある。
近年、介護保険制度は、特別養護老人ホームへの入所を原則要介護3以上に制限することや要支援者に対する新しい総合事業の導入などの給付抑制と前述のような自己負担増を目的とした改悪が連続して行われている。
さらに政府は成果主義を介護保険制度及び報酬に持ち込もうとしている。具体的には、今回の法案に要介護認定率引き下げや介護保険料の上昇を抑制した市町村へ財政的インセンティブを付与することを盛り込んでいる。本来介護保険制度のサービスは市町村が独自性を発揮し規定するものだが、財政的インセンティブが導入されれば、市町村間で際限なき競争が行われる恐れがある。市町村が利用者に寄り添わず、要介護度認定率の引き下げを目的化し、介護保険からの締め出しを推し進めれば、本来介護が必要な人が重度化するまで利用できない制度となる。
一方、中重度者に対する介護サービスの提供体制をどうしていくのかについての議論は進んでいない。政府は小規模多機能居宅介護などにより対応していくとしているが、事業所数は当初の見込みより進んでいない。また重度者を支えるには経験を積んだマンパワーが必要だが、介護報酬の度重なるマイナス改定により介護従事者の離職が相次いでいる。政府は離職を防ごうと、介護報酬の加算により月1万円の賃金上乗せを行うとしているが、全職種・全事業所が対象となるわけではない。賃金改善は加算ではなく基本報酬の増額で対応すべきだ。
介護保険制度が始まった2000年と比較し世帯構成が変化し、必要なサービスも多様化している。給付抑制ありきの議論ではなく、様々なサービスの提供により、自分らしい生活を送ることができる介護保険制度のあり方を問い直す時期に来ている。そのためには少なくとも現在より国庫負担を増やし、国民が安心できる制度にすることが不可欠だ。

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