協会の主張・決議・要望

【14.11.15】医療事故調査制度

徹底した議論を尽くせ

 新しい医療事故調査制度は、来年の10月実施に向けてガイドライン作りが進められている。厚労省はこのガイドラインのたたき台の検討を「診療行為に関連した死亡の調査の手法に関する研究班」に委託しており、10月14日には中間報告がまとめられた。これまでの議論の方向性がまとめられているが、そもそも医療事故調査の対象となる「医療事故」の範囲や「予期しないもの」の定義など、基本的な問題が曖昧なままで具体的に示されておらず、重要な部分の多くは「残された課題」として先延ばしされている。
 この研究班では自由な意見交換を保障するためとして議事を非公開にしており、検討結果のみ代表が報告していたため、議論の不透明さが問題視されていた。また、厚労省が直接関与しないため責任の所在が明確でないこと、議論が発展して法の規定を超えた議論がされていること等に懸念の声が上がっている。
 来年3月には最終報告をまとめることになっているが、当初予定されていたパブリックコメントの募集は新しい検討会の発足を理由に実施されないことになるなど、この研究班の位置づけが非常に曖昧なものになってしまった。
 厚労省の新しい検討会はこの研究班と同時並行で設置し、省令や通知などを作成して来年4月にはガイドラインを策定するとしている。
 より良い制度にするには、幅広い分野からの議論の保障は必須で、制度実施の期日に間に合わせるためだけの拙速な議論は危険である。これまでの検討会の中でも、合意の得られない問題点を積み残しの課題としたままに、ガイドライン策定の議論に先送りするなど、到底議論を尽くしたとは言えない状況だった。
 このままでは不完全な制度内容のまま、医療事故調査・支援センターだけが既成事実として設置されるのではないだろうか。
 厚労省は10月16日にホームページにQ&Aを掲載し、報告システムの必須要件である「WHOドラフトガイドライン」に示されている「非懲罰性」「秘匿性」「独立性」と整合性がとれたと記しているが、目的、理念だけ謳ったとしても、システムとして構築されていなければ何の保障にもならない。
 医療者側と患者、国民が相互に理解・共感を得ながら、より良い医療を目指す方策を見いだすには、まだまだ議論は不十分ではないだろうか。

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