協会の主張・決議・要望

【13.03.28】「小野市福祉給付適正化条例」に断固抗議する

2013年3月28日
小野市長 蓬莱 務 様
愛知県保険医協会
地域医療部長 長井克明

 貴市は3月27日の市議会本会議において、「小野市福祉給付適正化条例」を可決した。内容は、生活保護及び児童扶養手当等の受給者に対して、給付された金銭をパチンコ、競輪等に費消してしまい、生活の維持、安定向上に努める義務に違反する行為を防止し、市民等に市に情報を提供する責務を負わせることを規定している。
 しかしながら、生活保護法等の福祉制度は、憲法25条の規定により基本的人権として保障されている生存権に基づくものである。福祉制度で給付される金銭は恩恵ではなく、自立して人間らしく生活を営むための社会的再分配であり、その使い方は受給者自らが自律的に決定すべき時柄である。さらに市民相互の監視する責任を負わすことを含めて、今回の条例は明らかに憲法違反であり、我々は断固反対する。
 条例で定めている日常的にギャンブルにより生活を維持できないものとは、医学的にギャンブル依存症と判断されるものであり、その場合は専門機関による医学的な対応が求められる。ギャンブル依存症と生活保護受給者を一律かつ恣意的に結びつけることは、生活保護者への偏見と差別を助長し、受給者の市民生活を萎縮させることになり許されるものではない。また、自身の生活を監視される不安から要保護者らは申請を躊躇しかねない。
 また市民への情報提供の義務づけは、ケースワーカーでない市民等に、受給者による金銭の費消を条例によるところの「生活の維持、安定向上を図ることに支障が生じる状況を日常的に引き起こしている」判断を迫ることになり、結果として市民等が受給者の氏名や住所など個人情報を暴き出す風潮が作り出される可能性があり、極めて危険なことである。
 行政がなすべきことは、行政の責任放棄となる市民相互の監視体制の中に受給者を不安に陥れることではなく、福祉の専門機関である福祉事務所等の権限と責任の下、生活保護世帯に対して、密接な相談・支援を行うことである。
 我々は、小野市のみならず全国の生活保護受給者の人権、生命、健康を守るために、また市民間に不安と社会的憎悪の増大を防ぐために、「小野市福祉給付適正化条例」に断固抗議するとともに条例の廃止を強く求めるものである。

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