協会の主張・決議・要望

【11.04.23】介護保険法「改定」法案に対する要請書

 4月5日、「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(介護保険法「改定」案)が国会に上程された。
 社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」(2010年11月30日)で示された、(1)軽度者や高所得者の利用料2割負担化、(2)ケアプラン作成費の利用者負担導入−などの負担増が盛り込まれなかったことについては歓迎する。しかし、「ペイアズユーゴー原則」に固執し公費の引き上げを否定したことは、「介護保険への公費投入を8,000億円程度増やす」とした民主党公約と、「公費負担割合の引き上げ」を望む国民世論(43.1%:内閣府『介護保険制度に関する世論調査』2010年11月)等を無視したものであり、介護保険制度の改善を願う国民の期待に応える「改定」法案とは言えない。
 法案は、「地域包括ケアシステム」の実現に向けた改定であることを強調している。24時間365日、必要な医療や介護、生活支援等を受けながら、住み慣れた地域での生活の継続が可能になるという「地域包括ケア構想」は、国民要求を反映した積極的な側面もある。しかし、(1)「自己責任」の強調、(2)生活支援サービスの保険給付の縮小と保険外サービスの拡大、(3)生活支援サービス等への地域の支え合いの強化と民間参入、(4)高齢者住宅の整備促進と24時間巡回型サービス等の導入、(5)介護職員の医療行為の容認・拡大、(6)「地方分権」推進のもと実施の責任を市町村に丸投げ−など含まれており、新たな公費抑制システムになりかねない。医療費適正化計画のもと、医療から介護、入院から在宅へのシフトとして「地域包括ケア」が推進されることは明白である。
 そこで協会理事会は4月23日、真に「介護の社会化」を実現する制度の構築を求める立場から、今回の介護保険法「改定」案に対して、以下の内容を反映させるように強く要請し、要請書を内閣総理大臣、厚生労働大臣・副大臣・政務官、総務大臣、財務大臣、厚生労働委員長・理事、愛知選出国会議員へ提出した。

介護保険法「改定」法案に対する要請書

一.市町村の判断で要支援者への介護予防給付サービスの切り下げ、給付費を削減できる仕組み(介護予防・日常生活支援総合事業)の創設はやめること。

一.介護療養病床の社会的役割を認め、「介護難民」を生み出す介護療養病床の廃止は延期するのではなく、撤回すること。

一.高齢者住宅を入院・入所サービスの代替とさせるのではなく、42万人の待機者を解消するために、特別養護老人ホーム等の介護保険施設の整備拡充を早急に進めること。介護基盤整備に国と市町村が責任を持ち、国の十分な財政措置と補助率の引き上げにより、拡充すること。

一.医師から看護職、看護職から介護職へ、職能範囲を再編する介護職員への医療行為解禁は行わないこと。

一.介護保険施設入所者の居住費や食費、通所系サービスの食費を給付対象に戻すこと。

一.訪問看護・訪問リハ・通所リハ等の医療系介護報酬は、医療保険に戻して医療保険で必要なサービスが受けられるよう、給付制限をなくすこと。少なくとも、区分支給限度額の対象から医療系サービスを外すこと。

一.給付制限のための要介護認定制度は廃止すること。当面は要介護認定制度の簡素化と、認知症や高齢者の生活実態が反映できるように改善するとともに、区分支給限度額を引き上げること。

一.介護職員処遇改善に関わる費用は、当面、国庫負担で実施し、その対象範囲および支給金額を引き上げ、労働環境・雇用環境の改善を行うこと。また、介護サービスの向上を図るため、介護報酬を大幅に引き上げること。

一.介護保険財政に占める公費負担の割合を5割から6割に引き上げ、保険料の引き上げ抑制と介護サービスの充実を行うこと。新たな財源の確保は、消費税に頼らないこと。

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