協会の主張・決議・要望

【10.12.09】厚労省社保審介護保険部会意見書への要望書

負担増と給付抑制の改定をやめ、公費負担の拡大により
真に「介護の社会化」を実現する制度の構築を求めます

 2012年度の介護保険制度改正に向けて、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は、11月30日に、「介護保険制度の見直しに関する意見」を発表した。

 意見書では、(1)軽度者の利用料2割負担化や給付外し、(2)高所得者の利用料2割負担化、(3)ケアプラン作成費の利用者負担導入、(4)施設サービスの居住費・食費の補足給付への資産要件や家族の負担能力の要件導入、多床室への室料導入、85)第2号被保険者の保険料の総報酬割の導入、(6)被保険者範囲の拡大、(7)介護療養病床廃止方針の継続、(8)介護職員処遇改善に関わる財源の介護保険財政化−などが示されている。しかし部会では、これら負担増と給付抑制の方向に委員の間から異論が相次いだため、ほとんどが両論併記の内容となっている。

 民主党は昨年の総選挙で、介護保険への公費投入を8,000億円程度増やす公約を掲げ政権に就いた。内閣府が今年11月に公表した「介護保険制度に関する世論調査」では、43.1%が介護保険料負担の増加を抑制するには「公費負担割合の引き上げ」が必要としている。介護保険部会でも介護保険財政に占める公費の割合を引き上げることを強く求めた。しかし、「安定した財源が確保されない以上、公費負担割合を見直すことは困難」とし、公費の引き上げを切り捨てた。

 結局、介護保険制度の充実を願う国民の期待を裏切り、介護保険の財政確保のために「給付の効率化と重点化」を進め、国民・利用者の負担増と給付抑制を求める方向性を色濃く示している。今年6月に閣議決定した「ペイアズユーゴー原則」も明記され、高齢者の保険料負担の限界とされている5,000円を超えたくなければ、利用者の負担増と給付削減は避けられないと迫っている。

 当初2,911円だった平均介護保険料は、過去3回の改定で月額4,160円に引き上げられている。税制の改定によって課税限度額が引き下げられ、税・保険料などの負担は雪だるま式に増加。後期高齢者医療の保険料徴収も加わり、重い費用負担のためにサービス利用の「自己規制」を余儀なくされている。「介護心中」「介護殺人」「孤独死」なども後を絶たない。

 高齢者が安心して暮らすためには、真に「介護の社会化」が実現できる制度の構築が必要である。そのために、消費税増税に頼らない社会保障と財政の在り方を横断的に検討し、介護保険に関わる公費負担の引き上げを求めるとともに、以下のことを要望する。

一、介護保険財政に占める公費負担の割合を5割から6割に引き上げること。

一、軽度者や一定所得以上の高齢者に対する自己負担2割への引き上げをやめること。

一、軽度者の生活支援サービスを給付の対象から外さないこと。

一、ケアプラン作成費の利用者負担導入をやめること。

一、施設サービスの居住費・食費は保険給付の対象に戻すこと。

一、介護療養病床の廃止は撤回すること。

一、被保険者の対象年齢を引き下げないこと。

一、特別養護老人ホームなど、足りない介護基盤の整備を早急に進めること。

一、介護職員の処遇改善するため、介護報酬を引き上げるとともに、労働環境・雇用環境の改善を行うこと。


以上
2010年12月9日
愛知県保険医協会理事会

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