協会の主張・決議・要望

【10.10.04】厚労省「政策コンテスト」に抗議声明

犯罪捜査のプロを指導監査に活用する提案に断固抗議する

犯罪捜査のプロを指導監査に活用する提案に断固抗議する
協会が厚労省に抗議声明
 厚生労働省が実施した「政策コンテスト」で二次選考に選ばれた7件のなかに、犯罪捜査のプロである警察からの出向者を指導監査に活用する提案が含まれていることが分かった。これに対し、協会は9月第一理事会で、「断固抗議する」声明をまとめ、9月10日長妻厚労大臣(当時)に送付した。
 コンテストは厚生労働省が来年度の新規施策を打ち出すために全職員を対象としてアイデアを募集したもので応募は81件あったという。問題の提案をしたのは医療指導管理官の向本時夫氏。7月22日、二次選考に残った7件のプレゼンテーションが行われ、この提案は表彰の対象とはならなかった。しかし、こうした提案を二次選考に残した厚生労働省の責任は重大だ。
 保団連は8月に抗議声明をあげ、9月2日には厚労省当局と懇談を行ったが、「提案自体には問題はない」との態度に終始した(『全国保険医新聞』9月15日号)という。
 協会が、厚労省に提出した「声明」は次のとおり。
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 厚生労働省が行った「政策コンテスト」において、二次選考の対象として残った7件のうち、現職の医療指導官より犯罪捜査のプロである警察庁や警視庁から出向者を受け入れて指導監査に当たらせる提案を取り上げたことに断固抗議する。これは、指導監査に犯罪捜査の手法を持ち込むという驚くべき内容であり、こうした提案が第二次選考に残ったことについての厚労大臣の責任は重大である。
 医療指導管理官の提案内容によると、「権限の相違はあるものの、悪を正し刑罰(行政上の措置)を科す点においては共通点があることから、犯罪(詐欺罪)に対するプロである警察庁や警視庁(捜査第二課=知能犯、詐欺、横領担当)からの出向者」を指導監査部門に受け入れる、という。しかし、そもそも、健康保険法には、監査における調査、質問又は検査についての権限は「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」(第78条第2項、第7条の38第3項)と明記されている。ところが提案者は、「指導監査については、刑事事件と異なり強制捜査権はないが、事実を聴取し処分するといった点では共通」などと提案資料に記載しているように、「指導」と「監査」の区別どころか行政調査と犯罪捜査の区別までも無視するなど、指導監査の関連法令の趣旨に反した説明を行っている。
 さらに、「必要に応じ刑訴法に移行する場合があるといったような牽制効果を期待できる」としているように、全ての保険医療機関が受けるべきものとされている行政指導を「犯罪捜査」と同列視しており、刑事訴訟法に照らしても逸脱した提案を行っている。とくに「指導」は、行政手続法にもとづき「任意の協力によってのみ」実現され、なおかつ指導大綱により「診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させることを主眼とし、懇切丁寧に行う」とされており、処分を前提としたものではない。これらは、保険医を「指導」の段階から被疑者(犯罪容疑者)扱いするものであり、このような提案をすること自体が厚労省の担当者として不適格であり、指導、監査に対する厚労省の基本姿勢が問われる。
 私たち愛知県保険医協会は、以上の趣旨から、今回の提案と厚労省の対応に対して断固抗議するものである。

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