協会の主張・決議・要望

【10.04.15】地域の病床問題

安定した医療環境の維持への対応を

 4月1日から診療報酬改定が実施された。改定に向けて、医療崩壊の進む現場からは、「底上げ」を求める声が上がったが、政府は「病診格差の是正」「診療科間の格差是正」に矮小化し、診療所の再診料の引き下げを強行した。総枠拡大も実質0.03%に留まった。
 勤務医の負担軽減、救急医療の充実や外科・産婦人科・小児科医療の再建のためとして、各種加算や病病・病診連携の項目を設定したが、多くはセンター機能を持つ病院が対象であり、職員の配置や委員会の設置、会議の開催、研修の必須化など多くの施設基準を満たす必要がある。
 一般病棟入院基本料は15対1入院基本料が20点引き下げられた。医師・看護師不足に喘ぐ地方や診療圏人口が少なく機能特化できず平均在院日数の短縮が困難な中で、なんとか救急医療を担ってきた医療機関には大きな打撃である。また、入院後14日以内の加算は引き上げたが、相対的に入院期間による逓減が強められたことになる。また、90日超入院患者を対象とする特定入院基本料の対象が全年齢に拡大され、在院日数の短縮圧力がさらに強められた。
 療養病棟では医療区分2,3の患者比率が80%未満の病棟の入院基本料が大幅に引き下げられた。介護保険施設の整備が進まず、介護療養病棟の廃止方針も変更されていない現状では、療養病棟の縮小・廃止が起これば医療・介護難民の増加が起こることは容易に想像できる。
 介護保険制度への誘導を図る退院調整の仕組みが拡大されているが、利用者負担の重い現行の介護保険制度では在宅介護力の不足を補えない。
 在宅療養支援病院の届出対象の拡大、療養病棟や有床診療所の初期加算の新設は、少ない費用で中小病院・有床診療所に在宅への移行や、在宅での管理、「軽度悪化」患者の入院を担わせることを意図している。
 民間医療機関が経営困難化し救急返上や入院からの撤退が進めば、反動で基幹病院への集中が進む。勤務医たちは過重労働を押しつけられ、自治体病院は統廃合を余儀なくされる。安定した医療環境を維持するためには、過度な効率化や集約化ではなく面での対応が必要である。
 国民は急病で大病院を受診しても軽傷と判断されると自費負担させられる。そして重病者でもまだ治るチャンスがあるうちに医療が中止し在宅化させられる内容ともなっている。
 政府は従来の医療費抑制を転換し、国民に利する医療のグランドデザインを示すべきである。

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