協会の主張・決議・要望

【10.03.15】今次医科診療報酬の再診料引下げに抗議する

 保険医協会理事会は、今次診療報酬改定に関して下記の見解を理事会でまとめました。

今次医科診療報酬の再診料引下げに抗議する
診療報酬全体の「底上げ」こそ医療再生の条件

2010年2月27日 愛知県保険医協会理事会
 2月12日、中医協の答申によって診療報酬改定の点数が確定した。最終盤、公益委員の裁定によって診療所の再診料が2点引き下げられたことには断固抗議する。公益委員の提案でも、「財源制約の下で診療所の再診料を一定程度下げることにより対応せざるを得ない」と財源不足を強調しているが、本当に財源はなかったのかが問われている。
 今回、政府は診療報酬の改定率を高く見せるための「偽装」(「毎日新聞」)を行ったことが明らかになった。これは厚労省自身が当初、診療報酬改定の財源費用として上げていた「後発品のある先発品の追加引下げ」の600億円を、計算から外したものである。これをやめて新たに600億円の財源を追加すべきである。
 この600億円を引下げ財源として組み入れて計算しなおすと、今回の改定で新たに投入された費用はわずか100億円、総枠の改定率は0.03%にしかならない。これでは、医療費をGDP比で先進国並みの水準まで引き上げる、とする与党三党連立政権の合意に反するものといわざるを得ない。
 改定内容の特徴は、結果的に財務省の意向を強く反映したものになっている。昨年秋に行われた「事業仕分け」では、「開業医の年収は病院勤務医の1.7倍」「整形外科、眼科、耳鼻科、皮膚科の点数を下げ、産婦人科、小児科、救急医療の点数を上げるべき」など根拠のない財務省提供の資料が使われた。その内容が今回の改定で色濃く反映されている。
 さらに前政権の「医療抜本改革=医療費削減」の方針である、(1)平均在院日数の引下げ、(2)療養病床を始めとする病床数の削減の2本柱が、そのまま引き継がれている。入院基本料の引き上げは考慮されずに入院初期の加算により多く配分され、退院を促進する種々の加算が評価された。また後期高齢者の長期入院を抑制する差別医療として批判が強かった「後期高齢者特定入院基本料」が、廃止どころか全年齢に拡大したことも大問題である。
 また電子請求医療機関に対し「医療費明細書の発行義務化」が強制された。患者の求めに応じて医療機関が積極的に情報を開示する必要はあるが、一律に発行を義務づけることは、医療機関のみに負担を負わせ、窓口でのトラブルや待ち時間の増大なども危惧され、問題である。今後出される通知の内容を見なければならないが、「医療費明細書」については、「求めに応じて発行」とし、「発行義務化」には反対する。
 前回改定で、薬局の判断で「先発医薬品と同じ成分・効果を持つ後発医薬品」への変更を可能とする処方箋書式の変更が行われた。薬剤の処方は医師や歯科医師の専門的判断に基づく慎重な裁量が不可欠として、このようなやり方には反対してきた。今回この方法をさらに進め、「後発品からさらに安価・別規格の後発品への変更」も患者の同意のみで薬局での変更可とし、医療機関へは事後報告でよいとしている。後発医薬品の安全性と質の確保、情報提供、安定供給の体制確立などの条件整備も不十分な中、患者の安全上も非常に問題で、こうしたやり方での後発医薬品の普及には反対である。
 私たちは、今の状況を改善する最善の方策が診療報酬全体の「底上げ」であるとし要望をしてきた。残念ながら今回の改定はそれに反する。再診料の引き上げをはじめ改めて全体の底上げなど、いくつかの問題点の解消を訴えていきたい。

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