協会の主張・決議・要望

【07.09.05】特定健診

健診を医療費適正化の道具にするな

 特定健診・特定保健指導が来年四月から始まる。これは、医療費抑制対策として二〇〇五年に「医療制度改革大綱」で打ち出されたものであり、老人保健法から改変された高齢者医療確保法において、「医療費適正化の推進」を目的に実施される。
 二〇一五年までに生活習慣病有病者・予備軍を二五%削減することを目標に、メタボリック症候群に特化し、被扶養者も含めて医療保険者にその実施を義務付けた。受診率によって後期高齢者医療制度への支援金を一〇%加算減算する仕組みが導入され、医療費削減ができなければ都道府県別の診療報酬設定の道筋まで用意されている。
健診データの管理は保険者に義務づけられており、レセプトデータとの突合により患者の恣意的な管理強化につながる危険性もある。
 健診は疾病の早期発見・早期治療を目的としているはずであった。しかし、特定健診の場合は、内臓脂肪型肥満や生活習慣の問題が指摘されると医療の前に保健指導への誘導が行われる。生活習慣病は生活習慣要因のみならず遺伝や加齢、外部環境その他様々な要因が複雑に関与しているにもかかわらず、ことさら生活習慣への介入を重視し、疾病の自己責任を強調するものとなっている。さらに健診・保健指導のアウトソーシングも可能になり、開業医も企業を含めた健康産業の自由競争の中に置かれることになる。
 本来、健診・保健指導は公衆衛生として行政の責任で推進することが求められ、十分な国庫負担を投入すべきである。しかし、特定健診・特定保健指導では、財源に保険料が充てられ、受診率等の向上が保険料の値上げに連動することが考えられる。また、保険者の格差やアウトソーシングによって利用料の高騰や質の低下が懸念される。コムスンの教訓から金儲け主義に走る企業への委託禁止や費用の標準料金の設定などを行い過当競争にならない方法も必要だ。
 七十五歳以上の健診は後期高齢者医療広域連合が実施することになるが努力義務である。六十五歳以上の介護保険法による生活機能評価は市町村に義務づけられているので、市町村の役割は重要だ。さらに被扶養者の特定健診についても実際は市町村に委託されることになるだろう。
 現在市町村では特定健診等実施計画を策定している。住民にとって利便性の高い身近な医療機関による個別検診を原則とし、従前の健診が引き続き受けられるように制度改善を求めていく必要がある。

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